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04 LIFESTYLE

名橋「日本橋」架橋100周年を記念して
ジャパン・クラシック・オートモービル開催〔前編〕
Japan Classic Automobile 2011

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いよいよ本番を迎えた今回は、そのステージを三井本館前の日本橋から京橋へと拡大。沿道に溢れかえるギャラリーが見守るなか、江戸情緒たっぷりに数々のプログラムが盛り込まれた。歴史的文化遺産を背景にクラシックカーが溶け込む風景は特別なひと時を醸し出していた。

1st day

前回開催の2倍のエントラントを集め
新たな100年へのスタートを祝う

日本銀行前庭には1899年~1938年に製造された戦前モデルの展示エリア。整然と並べられたクラシックカーと重厚な建築の情緒ある風景。100周年を迎えた日本橋より古いモデルも並ぶ。

ジャパン・クラシック・オートモービルは、名橋「日本橋」架橋100周年を祝うためのプレイベントとして、2010年初春に初めて開催された。現在の石造りの日本橋は1603年(慶長8年)に架橋された初代「日本橋」から数えて20代目にあたるが、1911年に架橋されてから一世紀、刻まれた道路元標が示す通り五街道の起点として、交通の発展とともに人・物・文化を送りだしてきた近代日本発展の象徴といって過言ではない。

2011年――。記念すべき4月3日(日)の100周年を盛大に祝おうとした矢先、3・11東日本大震災が発生。「日本橋架橋百年祭」のオープニングセレモニーとしていよいよ本開催を迎えるはずだったジャパン・クラシック・オートモービルも中止せざるをえないことに。そして順延開催となる10月30日(日)のイベント当日を待たねばならなかった。

初回同様、ジャパン・クラシック・オートモービルの総合プロデュースを務めたのは、アクアリウムアーティストの第一人者、ファウストのメンバーでもある木村英智だ。このとき彼はすでに日本橋架橋100周年記念特別展 として「COREDO室町」にて開催された「江戸・金魚の涼」をテーマとした「アートアクアリウム展 ~江戸・金魚~ 」&「ナイトアクアリウムミュージアムラウンジ」を手掛け、8月12日(日)~9月12日(日)の僅か1ヶ月の期間に7万人ものギャラリーを魅了していた(このイベントレポートはコチラ)。

日本銀行前の江戸桜通りには1947年~1972年に製造された戦後モデルを展示。比較的馴染みあるメーカー名が並ぶが普段ではお目にかかることのできない名車がずらり。
三井本館前には日本を代表する名車を展示。思わず「懐かしい」、「カワイイ!」というギャラリーの声も聞かれた。

イベントプロデュースにあたり震災の影響も危惧されるなか、木村はキッパリと「コンセプトもプログラムも当初と同じ。変更はありません」と答えてくれた。「イベントは自己表現のひとつの手法であり、一過性の打ち上げ花火で終わるようなことはしたくない」と語っていた前回同様、多くのカーエンスージアストに支持されて、貴重なヒストリーを持つ1900年代から1970年代までの、世界的にみても名車と呼ぶにふさわしい車両の数々を集めた。当時の先端技術とクラフトマンシップの粋を集めたハンドメイドのクラシックカーや、日本のモータリゼーションを牽引した往年の名車など、そのエントリー数は前年の2倍以上! 60台を上まわった。

2010年は1Day開催だったジャパン・クラシック・オートモービルは2011年、2Days開催という規模に拡大。開催初日は訪れた多くのギャラリーが存分にクラシックカーの魅力に触れられるよう展示時間を終日とし、また展示駐車エリアも日本銀行前から三井本館前の江戸桜通りに加え、日本銀行前庭にもエリアを広げ、まさに木村が思い描いていた「日本のカーエンスージアストの先人達が愛車を乗りつけ集う当時の日本橋の風景を再現する」という夢が表現されていた。重厚な石造りの日本銀行旧館建屋、エンタシスの列柱が美しい三井本館、ルネッサンス式石造石拱の日本橋。その風景に歴史的クラシックカーは見事に調和して見えた。

多くの来場者を魅了した初日の展示を終えると、エントラントを招き夜の懇親パーティが催された。前年のショーアップ的なもてなしから一転。カジュアルで気さくなコミュニケーションの場を提供していた。冒頭、木村は「この会を成立させるにあたり、クルマ遊びの起点とは何か改めて考えました。 また、100年の歴史という重さも感じつつ、自動車趣味人として関わりたいと考え、この企画を進行してまいりました。三井本館、日本銀行、そして重要文化財としての日本橋。このような素晴らしいシチュエーションのなかにクルマを並べて皆さんとともに楽しみたい」と挨拶。こうして日本橋の夜の心和む緩やかな時が流れていった。

日本酒を世界に知らしめた旭酒造の銘酒「獺祭り」がパーティを盛り上げる。アクアリウム展が縁となりイベントをサポート。
総合プロデュースを手掛けたファウストメンバーの木村氏。アクアリストの第一人者だ。
名橋「日本橋」保存会の中村氏。自動車愛好家の協力を得て日本橋エリアの活性化を図りたいと挨拶。
日本クラシックカークラブ会長の小林氏。古いクルマを次の世代に受け継いでほしいと参加者に語る。
日本クラシックカークラブ財務顧問の片岡氏。日本橋とクラシックカーの取り合わせを絶妙と評価。

2nd day

ラリーとは異なるステージ設定こそが
このイベントの真骨頂

日本橋を背景に中央通りでのひとこま。モータリゼーション黎明期に自動車趣味を牽引してきたメンバーはタフなカーガイが多い。
行政と一体となり「舟運都市江戸」を蘇らせるべく地域の活性化のため新設された船着き場。日本橋は物流の要だ。

ジャパン・クラシック・オートモービル2日目は、いよいよ日本橋を渡る中央通りのパレードを迎える。エントラントは愛車のコンディションを整えつつ11:50のスタートまで待機となるが、日本橋架橋100周年を祝う祭りはすでに日本橋を中心にヒートアップ。橋のたもとに新設された船着き場では、和太鼓の咆哮とともに「日本橋お江戸舟運まつり」が始まる。川越、栃木、香取という小江戸3市から和船でいくつもの水路を辿り日本橋へ向かうという江戸時代を再現するイベントのクライマックスを迎えていた。橋上は立錐の余地もないほどの賑わいだ。またこの日は「第39回日本橋・京橋まつり」となっており、中央通りのパレードはオープニングセレモニーを含めれば30団体以上の参加者であふれかえる。隊列を整えるためのエリアはすでに神田まで伸びていた。

オープニングセレモニーが始まり、パトカー、白バイ、音楽隊に先導されたクラシックカーの隊列が日本橋へと進む。橋上で停車したクラシックカーは、さながらオープニングアクトのようだ。プログラムは関係者によるテープカット、伝統儀式である三代三夫婦渡り初め、川越藩火縄銃鉄砲隊保存会による演武と続く。オープニングセレモニーの終了を待って、クラシックカーは再びエンジンに火を入れ隊列をスタート。歩道を埋め尽くしたギャラリーが見守るなか、京橋方面へとパレードラン。その後に続く数々のパレードの先陣という大役を務めた。

こうしてジャパン・クラシック・オートモービルは盛況のなか幕を閉じたわけだが、2012年も開催されるのだろうか。歴史の節目となる日本橋架橋100周年を終えたいま、当初のイベントの目的は達成されたことになるからだ。この事実はこれまで行われてきたクラシックカーイベントのような、ルート設定されたラリー形式のイベントとは異なる。この点を木村に訪ねてみると「100年という時の流れのなかで様々な出来事があったはずですが、時代に翻弄されながらも、変わらないものもあったはず。この絵が見たい、そんな思いでひとりの自動車趣味人として関わり、その繋がりでまわりの皆さんの協力も得てきましたから、次となると今一度じっくり考える必要があるなと思っています。ただ、日本橋は日本の道路の起点ですから、ここからスタートしてクルマで何かを運ぶというのも面白いかなと。あくまで今は白紙ですけれど……」。

日本橋という歴史的遺産をアイコンに、文化を発信し、コミュニティの活性化を図ろうとする人々がいる。当時の先端技術を詰め込んだ今ではクラシックと呼ばれる自動車たちは、関わった人々のエネルギーが結晶化した生命の塊のようなもの。だからこそカーエンスージアストと呼ばれる人々は、とりわけ古いクルマを愛するのだろう。木村が言った“何かを運ぶ”というモノのかたちがぼんやりと見えた気がした。

 

川越藩火縄銃鉄砲隊保存会による演武。無論、空砲だがその豪音と迫力は圧巻の一言に尽きる。
中央区親善大使のお嬢様たちとクラシックカー。表情豊かなクラシックカーとはじつに絵になる。
三代三夫婦渡り初めを行う日本橋茅場町のファミリー。かつて橋の完成を祝った儀式であった。
日本橋橋上にはギャラリーがまさに鈴なり。「前の方屈んでくださーい」という声も聞こえる。
笑顔の和装美人とレトロな雰囲気で。クルマの魅力はスピードと利便性だけでは語れないもの。

Data

ジャパン・クラシック・オートモービル2011
http://h-i-d.co.jp/jca/
日時&場所:2011年10月29日(土)10:00~17:00展示
日本銀行前庭、江戸桜通り(日本銀行前、及び三井本館前)
2011年10月30日(日)12:00~パレード
中央通り(日本橋架橋百年祭パレード参加)
総合プロデュース:木村英智(株式会社エイチアイディー・インターアクティカ/ファウスト会員)
主催:ジャパン・クラシック・オートモービル実行委員会、名橋「日本橋」保存会
協賛:三井不動産
監修:日本クラシックカークラブ
協力:ワクヰミュージアム、ブレシア、OLF(On Line Ferrarista)、ファウストA.G.(サイバードグループ)
企画・運営:株式会社エイチアイディー・インターアクティカ

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