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Richard Branson

リチャード・ブランソン

ヴァージン・グループ会長

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Vol.2
冒険が結ぶ家族の“絆”

娘のホリーと息子のサム、父親から学んだ挑戦の心

リチャード・ブランソン卿インタビューの第2弾をお届けする。今回の話題は、父とともに冒険の航海に果敢に挑戦した娘・ホリーと息子・サムを交えた冒険談だ。どのようにして、彼らは過酷な局面を打破したのか? 本インタビューで、彼らの冒険を支えた家族の“絆”に、我らがFaust精神をかいま見た

>>インタビュー第一弾はコチラ

1本マストの帆船で大西洋を家族で横断

 英国のドキュメンタリー番組『The Bransons: Come Hell or High Water』(※脚注)では、娘のホリー(26歳)、そして息子サム(22歳)を伴った世界で最も著名な英国の億万長者のひとり、リチャード・ブランソンの勇姿を見ることができる。
この番組で最も話題となったのは、おそらくブランソン一家が、全長30メートルのスループ帆船(1本マストの船)で大西洋を東回りに横断するという記録破りの挑戦を成し遂げたことだろう。本インタビューでは航海を終えた一家が、過酷な経験、家族の“絆”、そして受け継がれた冒険心と夢について語っている。

――『Come Hell or High Water』では、素晴らしい記録を打ち立てましたね。その経験はあなたがたにとっていかがでしたか? しっかり楽しめましたか?

ホリー思い出しただけでもゾッとするくらい大変だったけど、本当に素晴らしい貴重な体験だったわ。もう一度挑戦したいと思っているくらいよ。

――再び挑戦されるのですか?

サムそうだね。冬の間は氷山がたくさんあるから、春に僕たちはもう一度トライしようと計画しているんだ。

リチャードあれは究極ともいえる計画だった。かなり熟練した船乗りにとってもただならぬことらしい。

――一番大変だったことは何ですか?

サム食事かな。

リチャード風速20メートルの吠えるような暴風雨のなか、我々が夜の航海を続けたときだった。船が暴風雨に耐えられるかどうか、我々全員が持ちこたえられるかどうか、特に私は父親として、子供たちを巻き添えにしたのは正しい判断だったかどうか、ずいぶん自問自答したよ。もちろん、それは貴重な経験には違いないのだが、あの困難を楽しめたかどうかは別の話だ。誰かに「もう一度やりたいですか?」と尋ねられたら、我々の誰ひとりとして手をあげないだろうけど、終わってみると不思議と素晴らしかったことしか覚えていない。例えば、我々がこれ以上航海を続けることは不可能と諦め、バミューダに向けて25フィート(約7.5メートル) の渦巻く高波の中で船を進めていたとき、突然、追い風が吹いて24時間もの間、至上の航海を楽しむことができたんだ。このときのセーリングは実に爽快だったね!

ホリーこれまでした経験のなかでも、信じられないくらい素晴らしかったことのひとつね。真っ青な空と凪が高鳴る波を静めてくれて、めちゃくちゃ感動的だったわ。

サムバミューダに近づくにつれて、だんだん暖かくなっていったね。

――次の計画を断念しようとはまったく考えていないようですね?

ホリー航海中お天気さえ良かったら、さらに記録を更新できるんだけれど。

サム決して楽じゃないタフな経験だった。何しろ強烈な体験なので、後で考えるとなんて価値のあることだ!と思ってしまう。

リチャード世界記録を打ち立てようと思ったら、コトは甘くはないと覚悟すべきだよ。誰でもできることをやっている限り、世界記録とは無縁だから……。とてつもない暴風雨や荒れ狂った天気と闘うことは、航海につきものだと思っている。

受け継がれるブランソン家の絆

――どんないきさつで、ふたりは参加することになったのですか? 父親の期待を感じたからですか? それともお父さんに追いつこう、という気持ちがどこかにあったから?

ホリーその"種"は私たちのなかにあったと思うわ。サムの場合は確実にそうね。何度も探検隊と北極へ遠征に出ているし、私も父から今回の航海に誘われたとき「NO」というオプションはなかったわ。この話に興奮して即座に飛びついたってわけ!

サム貴重な経験ができるこんなチャンスを断ることなんてできないよ。僕らは両親に育てられたのだから考え方が似ていても当然だけど、冒険に関しては絶対に父親ゆずりだ。

――リチャード・ブランソンを父親に持って成長するとは、どんな感じですか?

サム世界中を旅することができるのはすごいことだ。僕らはとても仲が良くて、カリブ海にある小さな別荘で家族の絆を強めている。確かにそれはリチャードのような父親がいればこそで、とても恵まれたことだと思う。僕らは家族愛に満ち溢れている幸運な一家だ。

リチャードふたりともそれぞれ、自分たちの人生を切り拓いていっていると思うよ。ホリーは医者になるためのトレーニングを積んでおり、我々は献身的に仕事をしている彼女をとても誇りに思っている。サムにしても、北極遠征に参加して3カ月もの間、毎朝5時起床で、犬に餌をあげたり犬ぞりの準備をしたりして経験を積んでいるんだ。彼らは本当に素晴らしい子供たちだと思っている。我々家族は幸運以外の何ものでもないね。

――あなたのお母様の影響も相当大きいのではないでしょうか?

リチャードそれはあるね。彼女は幼い頃からみんなが自分の二本足できちんと立つことを奨励したし、私はそういう母をとても尊敬しているんだ。私はテレビを自由に見せてもらえなかったし、彼女は実践や行動を重んじて、我々が自分たちなりの人生を築きあげるのを強く望んでいた。彼女に追いつくのにみんな一生懸命だったよ。あるとき私が母を夕食に誘おうと電話すると、彼女は予定表を出して「3カ月先だったらたぶん時間がとれるわ!」と言われたこともあるんだ。

――あなたがこれほどの成功をすると、彼女は予想していたと思いますか?

リチャード「イエス」という答えで間違いないと思うね。彼女はいつだって子供たちに大きな未来を望んでいた。私がここまでくるのに、両親は経済的援助などいっさいの面倒を看てくれなかったんだ。ホリーとサムも同じように、いつもお皿の上に食べ物があるのではなくて、人生を切り拓く喜びや満足を自分の手で獲得してほしいと望んでいる。私は両親の育て方から多くを学んだので、ホリーやサムも同様にそこから有益なものを見い出してほしいね。

――ふたりともルックスの良い若者たちですね。将来、ボーイフレンドやガールフレンドが現れたときに、あなたは子供たちの判断を信じますか?

リチャードすでに彼らにはそれぞれ素晴らしいパートナーがいる。みんな明るく快活で最高の若者たちだから、私にはまるで最高の子供が4人いるみたいだよ。彼らは趣味もいいし、まったく問題はないね。

――相手が疑わしい人間かそうでないか、どうやって判断するのですか?

サム僕ら家族はいつも旅行をしているので、新しい人に出会うチャンスがとても多い。そのおかげで人を見る眼がずいぶん養われたと思う。人に対する判断力が自然と身について、本物の人間と嘘の多い人間の区別がつくようになった。幸運なことにいろいろな分野に親しい友人がいるから、あまり疑わしい人とは出会わなくてもすむんだ。

ホリー私も昔からの長いつきあいの親友が何人かいるし、彼らととても仲がいいの。友人にはとても恵まれているわ。私は彼らを100% 信じているから、あなたの心配は必要ないと思うわ。

――クリスマス休暇はどこで過ごすのですか?

リチャードクリスマスだと、どうしても子供たちを甘やかしてしまうね。カリブ海に小さな別荘があって、みんなでそこに逃げ込むことにしているんだ(笑)。

――別荘のトイレからの眺めは素晴らしいそうですね。

ホリーそれはみごとな眺めが広がっているの。絶景なのよ !

リチャード MTVの番組 “Cribs”がこの島と別荘を取材したが、あれは面白かった。トイレのシーンが特にね。

――別荘を賃貸していると聞きましたが。

リチャードああ、借りることができるよ。君も大歓迎だ。君の上司と話してあげようか。ただし、クリスマスには部屋代がかなり上がると思うけどね。一度に28人までのグループが借りられて、ダンスパーティも楽しめるよ。

――モデルのケイト・モスがそこはこれまで訪れた場所で、最もステキな地上の天国だと言っていましたよ。

リチャードケイトはすでに何回か滞在している。彼女はすごく楽しんでいたようだね。

一家の“たくらみ”

――ところで、次の世界記録の計画にむけて一路、邁進するのですか?

リチャード今度は“天気予報の窓口(Weather Window)“を開設してからになるので、計画実行は春になるか、あるいは秋まで持ち越しになるか、我々は天気予報士の判断を注意深く見守ることにしている。次回は天候に恵まれて、いい航海ができるのを心から望んでいるよ。

――ほかに何かプロジェクトを準備されていますか?

リチャード昨今、私は社会問題を注視することにもっと時間を割きたいと考えているんだ。事業のほうはそれなりにうまくいっているので、数年前に、ミュージシャンで社会活動家のピーター・ガブリエルと私で立ち上げた長老会(The Elders)と呼ばれる非常に興味深いプロジェクトにもっと専念したい。それはネルソン・マンデラ元南アフリカ共和国大統領、ノーベル平和賞受賞のデスモンド・ツツ大主教、カーター元アメリカ合衆国大統領、コフィ・アナン元国連事務総長ら、12人の名士たちが、彼らのモラルや智恵を大いに駆使して、紛争の絶えない現地に赴き問題の種を解決する人道的な取り組みだ。私は目下、このプロジェクトにかなりの時間を費やしている。

>>「The Elders」については前回のインタビューを参照

――あなたがたおふたりはいかがですか?

ホリー私はヴァージン アトランティック航空が支援するアフリカでのさまざまな形の慈善活動(チャリティ)を視察するために、1月の初めに現地に行くの。1週間の滞在中にあちこちと盛りだくさんに見て回るつもり。でも、ロンドンに戻ってからは毎日、雨を見て暮らすことになるわ(笑)。

サム僕は3カ月にわたった北極遠征の体験日誌をまとめて本にしたいと思っている。また、地球温暖化問題や、北極での貴重な経験、冒険、究極のスポーツなど、エキサイティングなライフスタイルに関心のある人々とのオンライン・コミュニティを作りたいと思っているんだ。

 

※『The Bransons: Come Hell or High Water』
「Virgin1 channel」にて2008年秋から放映されているブランソン家の冒険ドキュメンタリー番組。“Come Hell or High Water”は英口語で「どんなことがおころうとも」の意。ディープ・パープルのアルバム名も彷彿とさせる、英国ロックと共に成長したブランソン氏らしいタイトルだ。

番組
http://www.virgin1.co.uk/shows/the-bransons/about.php

アトランティック航海の様子
http://www.virgin1.co.uk/shows/the-bransons/gallery.php

 

 

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Richard Branson
リチャード・ブランソン

ヴァージン・グループ会長


1950年、英国ロンドン生まれ。ヴァージン・グループの創設者にして会長。音楽、映画、鉄道、航空事業や宇宙旅行事業など、幅広い事業に挑戦し続けてきた。熱気球で太平洋を横断するなど冒険家としても知られ、近年は環境保護や地球温暖化問題にも積極的に取り組む。2009年6月に来日。

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