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万年筆に宿る熟練の技は、
老舗が挑んだコラボレーション

山田平安堂×セーラー万年筆

古くから宮内庁御用達の器として重宝されている山田平安堂の漆器。創業者の山田孝之助氏は、京都の漆器店で修行を積んだのちに、1919年、日本橋に「山田漆器店」を開業。当時、東京で目にしたのは実用的で無骨な漆器ばかり、京都にある雅やかな香り漂う漆器に山田氏は心ひかれたそうです。東京にも「京漆器」の魅力を伝えるお店ができないか、そう考えたのが開業のきっかけでした。のちに山田氏が、店名を「山田平安堂」と改名したのも、そうした京都への強い思いからだったに違いありません。
そもそも漆とはアジア地域全般に生息するウルシ科の樹木のこと。アジア各地で古くから防腐、防水塗料を用途として使われてきましたが、同じアジアでありながら日本だけは、漆の持っている質感にオリジナリティを見いだし、日本ならではの工芸品として昇華させるに至ります。

写真右が刷毛目龍閃 52,500円(税込)、左が流水紋蒔絵 68,250円(税込)

いまでは漆器といえば日本文化の「わびさび」を表す象徴的なものとされ、欧米で「JAPAN」と呼ばれることもあります。ちなみに「CHAINA」は磁器のことを指します。
創業以来、普遍の美を追求する一方で、漆器を取り巻く環境は時代とともに移り変わりつつあります。1994年に、3代目の山田達男氏はそうした変化を察知し、「漆器を通じてライフスタイルを提案したい」と考えました。そして、より若い層に対しても漆器の存在を広めようと、大胆にも会社と店舗を日本橋から代官山に移転。また近年ネットストアにも参入し、つねに時代にあった「漆器店」のありかたを模索しています。

トップ写真:長刀万年筆と同時発売されたカフスボタン。手元がひときわ美しく映える。 長刀万年筆(金梨地蒔絵) 105,000円(税込)、カフス(金梨地蒔絵) 39,900円(税込)

万年筆にみる、新たな挑戦

さきごろ山田平安堂から発表された新作は食器類ではなく、「万年筆」という新しいライン。ボディ自体は創業100年を誇る日本の老舗ブランド「セーラー万年筆」によるもので、まさに老舗同士の異業種コラボといった様相です。
万年筆に施されている「蒔絵」とは、漆器に漆を用いて絵や文様を描き、そこに金銀粉を蒔き、さらに磨き上げるという伝統技法で、漆工芸を代表する技と言われています。
新作には、梨肌のような風合いからそう呼ばれる「金梨地(きんなしぢ)蒔絵」、漆黒のボディに散りばめられた銀粉とのコントラストが美しい「銀研出(ぎんとぎだし)蒔絵」、また、漆器では伝統的な意匠の「千筋(せんすじ)」に、絵柄を立体的に見せる蒔絵の技法を使った「銀千筋 高蒔絵」の3種があります。またペン先は21金で、長刀研ぎと呼ばれる希少な形状に仕上げるなど、いずれも熟練の職人による技法の限りをつくした美術品であることに変わりはありません。
しかし、一方で山田平安堂が目指したのは、「品の良い風合いを醸し出しながら、持ち手の美意識をさりげなく感じさせる」という、いわば日常使いの万年筆です。随所に宿る名工たちの精密な手仕事は、きっとハードワークをこなすファウスト諸氏にとっても心くすぐる逸品となるはず。
かつて先代が残した「漆器を通じてライフスタイルを提案したい」という思いは、新作の万年筆を通じて連綿と受け継がれているようです。

長刀万年筆シリーズは、右から銀千筋 高蒔絵、金梨地蒔絵、銀研出蒔絵の3種。各105,000円(税込)

Data

漆器 山田平安堂
TEL:03-3464-5541 
営業時間:10:30~19:00(日・祝日は18:30)  

公式ホームページ:http://www.heiando.com/
ネットストア:楽天市場(http://www.rakuten.ne.jp/gold/yamada-heiando/top.htm
Yahoo!店(http://store.shopping.yahoo.co.jp/heiando/index.html

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