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Vol.23
ザンジバルの風
Zanzibar, Tanzania/ザンジバル・アフリカ

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

貿易風が青いサンゴ礁の上を滑るように駆け抜ける。透き通るターコイズブルーの海の上に、インド洋に多く見られる木造帆船のダウが浮かぶ。真っ白な帆を突き抜けるような青い空に大きく広げると、バッ!という音ともに、風を孕む。そして船は静かに波を切り、沖へと進む。その時の爽快感。これまで数々の海で、さまざまな船に乗って来たけれども、このダウが持つさわやかさは格別である。まるで水色の空を風に乗って飛んでいるかのようである。

夕暮れ時の風を孕んでダウ船が海の上を走る

地図を広げて眺めると、アフリカ縦断の旅もここザンジバルでちょうど中間ぐらいの位置である。アフリカ内陸部をずっと旅をして来て、ふと海が見たくなってこの島までやって来た。現在はタンザニアの国の一部であるが、数十年前まではひとつのザンジバル王国として歴史を歩んで来たその島は、独特の文化をいまもなお有している。ザンジバルはかつて、アフリカ、アラビア、インドを結ぶインド洋の交易の要衝として栄えて来た。

風と潮だけを頼りに、ダウ船で遠く大陸間移動を繰り返した屈強な船乗りたち。海に翻弄され、夜の闇に飲まれ、それでも広大な海をどこまでも旅する日々。
ザンジバルの滞在の多くの時間、浜辺に座って沖を行くダウ船を眺め海から吹く風を感じながら、かつての交易の旅を思い描いて過ごした。

闇に閉ざされた海の上で過ごす夜はどんな気持ちがするものなのだろうか。ねっとりとした夜の海の闇が船のすぐそこに渦巻き、落ちれば死を意味する。見上げれば無数の星が船を目的地へ導くように輝き、船乗りに希望を与える。死と希望の狭間を、船はその帆に夜の闇を孕んで進む。その時、人々の胸に去来するのは一体何なんだろうか。郷愁、孤独、疲労感、希望、癒し、不安。いろんな思いが織り交ぜになって潮のように満ちては引き、引いては満ちたのかもしれない。

いまもなお、ザンジバルからコモロ諸島やマダガスカルへと渡るダウ船があるという。その船に乗り込んでマダガスカルに渡ってしまおうかとおもったけれども、想像以上にアフリカ縦断の旅の疲れが溜まっていたのと、ザンジバルの風があまりにも心地良いため、僕はいつまでも浜辺で変わりゆく海の色を眺めて日々を過ごした。いつかダウに乗って、アフリカからアラビア半島まで旅してみたいものである。そんなことばかりを考えていた。

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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