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Vol.5
地球の入り口
ブルーホール/ベリーズ

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

もしこの僕らが住むこの星に入り口があるとしたら、それは一体どんな形をしていて、どんな場所にあるのだろうか。そして、もしそれが本当にあったとしたら、入ってみたいと思うだろうか?

中米の小国、ベリーズの沖合約80Km。世界第2位の面積を誇るバリアリーフの中にそれはあった。
ベリーズの首都、ベリーズシティから小型飛行機で東へと向かうと、はじめ眼下に広大なマングローブが広がり、やがてしばらくすると段々と海の色がサンゴ礁特有の淡い水色に変わり始める。海の色は単調な一色ではなく、水深や水中のサンゴの群生の具合により濃淡があり、上空から眺めていると巨大な水色の魚の体を覆う鱗を眺めているように見える。

順調にフライトを続け30分ほど経った頃、パイロットが前方を指差し、「あれだ」という。目に飛び込んで来たのは、ブルーホールと呼ばれる円状に広がるリーフ。その直径は100mほどだろうか。リーフの周りは淡い水色をしているのに、その内側は濃紺。リーフが作り出すサークルがあまりにも完璧で、それは自然の造形というよりかも、人工的な印象を見るものに与える。しかし、それは間違いなく自然が時間をかけて作り出したものなのだという。

ブルーホールの上空を小型飛行機は何度も旋回する。あらゆる角度から海の真ん中にぽっかり空いた穴を眺める。意識はどんどんとその円の中心へと吸い込まれて行き、眺めれば眺めるほど目が離せなくなって来くる。 僕にはそれがまるで地球の入り口のように見えた。見渡す限り広がるサンゴ礁の真ん中に空いた秘密の入り口。その入り口に飛び込み奥へと進むと、一体何が待ち受けているのだろうか。もしかしたら、この世界の成り立ちと、この世のすべての謎の答えが用意されているのかもしれない。濃紺の円の中に引きつけられた意識の中、そんなことを夢想していると、パイロットが笑顔で親指を立て、そのままベリーズシティへと機体を向け帰路についた。

ブルーホールの中は水深100m以上あるという。そしていくつもの横穴が複雑に広がっているという。その全貌はまだ明らかにされておらず、僕の夢想した地球の入り口であるという想像は、いまのところ誰も完全に否定することは出来ない。 もしブルーホールが本当に地球の入り口だったら、あなたは入ってみたいと思うだろうか。そこに何が待ち受けているかはわからないが、その過程にはたくさんの冒険があるだろう。この地球にはまだまだたくさんの冒険が満ちている。ブルーホールを見てそう思った。

 

取材協力
Belize Public Relation Production
ブルーホールのエクスペディションをはじめ、ベリーズの海からジャングル、マヤ遺跡まであらゆる冒険をアレンジしてくれるベリーズ観光局認定のツアーオペレイター。今回、ブルーホールの空撮をコーディネイト。
URL:
http://www.bprp.bz/
Blog:
http://belize.livedoor.biz/

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。現在、世界一周の旅を敢行しながら作品を寄稿中。立ち寄った国はすでに10カ国を超えた。
公式サイト www.uruma-photo.com

著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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