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Vol.3
時代を超えて存在する
大地と人々のつながり
グアテマラ・スニルの日曜市

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

 グアテマラのケツアルテナンゴの早朝。周りをぐるりと標高2500m級の山々に囲まれ、空気はしっとりとして冷たい。立ちこめる朝靄の中、チキンバスと呼ばれる派手に装飾されたグアテマラのローカルバスに乗り込んで、山をひとつ越えた先にあるスニルという小さな街を目指した。この日は週に一度の市場の日である。周りの山々から畑で収穫された果物や野菜を売りにたくさんの人が集まってくる。

 バスは山々の合間を縫うように流れる小川に沿って進む。窓の外の風景は明るくなり始めているものの、稜線に阻まれてまだ太陽の光が差し込むまでには至らない。しっとりとした朝の山の緑が目に優しく、バスの揺れと相まって、ついうとうとしてしまう。バスは45分ほどでスニルに到着。山の斜面の中腹辺りに建てられた教会を中心に街は広がっているが、その大きさは歩いて端から端まで20分とかからない小さな街である。

 街に入ると古い石畳の上をウィピルと呼ばれるグアテマラの伝統衣装に身を包んだ女性たちが、大きな荷を背負いながら足早にみな同じ方角へと歩いている。ついていってみると、そこに目指す市場があった。市場と言っても店が軒を連ねているわけではなく、屋根のある大きな広場の地面に、先ほどの女性たちが布を広げて、その上に果物や野菜などを並べて売っている。

 市場を歩くと、その食材の多さに驚かされる。ピーマン、トマト、ジャガイモ、人参、黒豆にニンニク、主食のトルティーヤを作るためのトウモロコシ、コリアンダー、バナナ、オレンジ、スイカ、リンゴにマンゴー、名もわからない見慣れない食材などなど。どれも色鮮やかで、そして生き生きとしている印象を受ける。どれもこの土地で育って収穫されたものばかりである。それを色鮮やかな伝統衣装を身にまとった女性たちが、力強く声を上げ客を集めては売っている。そして、さらに驚かされることは、この市場を歩いていると目に入るものすべてが“現代”という言葉と無縁に思えるものばかりで、いったい自分がいつの時代にいるのかわからなくなることである。目に入るもの、聞こえてくるもの、それらすべてが例えば200年前のものである、と言われても納得してしまうような光景なのだ。バスでうとうとしている間に何かの手違いで時間をさかのぼってしまったのではないかと、不安に感じてしまうほどである。

 市場というのは、その土地そのものであると常々思う。その色彩はその土地の多様性と豊かさの象徴であり、その活気はその街のエネルギーそのものである。このスニルという街がここに凝縮されているのだと思う。スニルの市場を見ていると、周辺に住む人々はこの土地に深くつながっているということがよくわかる。その土地のものを食べ、その土地のものを身につける。そしてそこに活気があり、人々の表情には笑顔がある。スニルの市場は人と土地のつながりの大切さを感じる場所であった。

※ファウストA.G.運営事務局より: うるまさんは2010年5月上旬にグアテマラに訪問しました。グアテマラは5月末から、暴風雨災害に見舞われています。被災地の一刻でも早い天候の回復と、被災者の方々のご無事を願うとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。
公式サイト www.uruma-photo.com
著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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いま、世界一周の途中。

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