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INTERVIEW with FAUST MASTER
ファウストA.G.アワード2012受賞者インタビュー

2012年、ファウストA.G.アワード授賞式にて贈られた冒険家賞、挑戦者賞、社会貢献賞、特別賞、JustGiving特別賞。各受賞者に、授賞の感想をインタビュー。今後の目標とともに語っていただいた。







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冒険家賞FAUST ADVENTURER OF THE YEAR谷口けい平出和也アルパインクライマー

オリジナリティのある登山を目指して

Mephisto(以下M) 今回、おふたりは冒険家賞を受賞されたわけですが、谷口さんは小さいころから冒険に憧れていたそうですね。

谷口 子供のころからすごく冒険に憧れていた自分としては、登山の賞ではなく一般的な目から見た冒険家賞というものをいただいたことは、すごくうれしいなと思っています。私たちがやっていることは、誰かのためにやっているわけでもなく、誰かに認めてもらうためにやっているわけでもなく、実は知られなくてもいいことかもしれませんが、それでも自分たちしか見たことのない風景だとか、体験したことのない苦しさや恐怖といったものをいろいろな人と共有できたらすごくいいなと思っていたので、この機会に山岳の世界を超えて、もっと多くの人に知ってもらえたら本当にうれしいです。また、いろいろな分野でいろいろな挑戦を続けている方たちと顔を合わせることができたことも非常に興味深かったし、貴重な体験をさせてもらいました。

M 平出さんはいかがですか。

平出 自分たちのために登山をしていて、結果的に自分たちがやったことに共感を得てもらったというか、評価していただいたことをすごくうれしく思っています。あくまで自分たちの精神は、賞にあらずであって、それが目的でやっているわけではないんですが、自分たちの枠を超えて多くの人に知ってもらえたということは、非常にうれしいなという気持ちです。



M おふたりは、なぜ「誰も通ったことのないルートでの登山」にこだわるのですか。

平出 大前提としてあるのは、最初からそういうことができたわけではなくて、既成ルートで7000m行けた、8000m行けたというのがあって、じゃあ次はオリジナリティのある登山がしたいという段階にステップアップしたということです。登山というのは自由なもの。なのに、「なぜ登るルートはこんなに限定されているんだ。もっともっと自由な登山がしたい」というところから始まったんです。今では、自分で目標を決めて、ルートを決めることに魅力を感じているし、そうでないとモチベーションが上がらないというか、僕にしかできないことをやりたいな、と。そこにこだわっているわけです。

谷口 今は何でも情報にあふれている世の中なので、あえて情報のないところに行くことで冒険を見出せる。それが(この登山スタイルを)選んでいる理由かなと思います。私は冒険の魅力のひとつとして、未知との遭遇という言葉をよく使うんですが、そのひとつが知らなかった自分自身との出会いだと思っています。自分にはこんな強さがあったんだとか、弱さがあったんだとか、より情報がないルートへ行くことによって、未知なる自分とも出会えます。

M どこへ行こうというのは、すぐにふたりの考えが一致するものですか。

平出 ナムナニの場合で言うと、僕がその近くを5、6年前に通ったときに、「あの山はいいな」と思っていました。そこで、2004年から一緒に登っている谷口さんに話してみたら、いいね、と。以前は僕の夢だったのが、ふたりの夢になったというか、最初は僕が行きたかったはずなのに、谷口さんのほうが僕以上に行きたがっているのが、非常におもしろかった。どちらかが言い出した魅力的な提案にもう一方が興味をそそられると、2倍の力になってやってみようと思うのかもしれません。

M 谷口さんは平出さんの話を聞いて、興味を持ったわけですね。

谷口 最初から「それ最高だね」と思ったわけではありませんが、写真を何回も何回も見ているうちに、それが自分の山になってくる感じですよね。そこからいろいろ話しているうちに、どういうスタイルで登るのかとか、どんな道具を持っていくのかとか、そういうことが具体化されていくわけですが、その話の過程ですでに冒険が始まっているのかなと思います。その話し合いを始めた時点でもう、その山の虜になっているのかもしれないですね。話を聞いて全然ピンと来なかったら、たぶん何も始まらないと思います。

M ナムナニの場合は、一枚の写真を手掛かりに登ったということですが、例えば、それが風景写真であっても様々な情報が得られるということですか。

谷口 同じ写真を見ても、「空がきれいだね」と言う人もいれば、私たちのように「ここにラインがあるぞ」と見る人もいるということです。あるいは、「ここには川が流れているから、水が取れる。ベースキャンプを張れるぞ」とかね。ただナムナニに関しては、あまり写真情報もなかったので、より探究心がそそられました。誰も近づいたことがなく、情報がないということだったので、じゃあ行ってみよう、と。

M いざ行ってみたら、どうにもならなかったという可能性もあったわけですか。

平出 実際、ナムナニに関しても本当は最初に行きたかった壁があって登り出したんですけれど、途中で雪の塊がぶら下がっていて、結果的には危ないということで止めています。だから、一回は挫折しているんですよ。その後、今回登ったルートにシフトしたわけですけれど、最初に夢をかけて行った壁に関して言えば、途中で敗退して登れなかったので、一度、かなりモチベーションは下がりましたよね。

谷口 一度、ガーンと下がったね。丸1日か2日くらいは、結構悶々として。「なんて自分は弱いんだろう。結局自然には勝てない。人間なんて所詮はそんなものだよ」と。だけど、「このままは帰りたくない。じゃあ、何ができるだろう」と自分に問いかけるところからが、また次のスタートでした。未知の世界なので、行ってみないと分からないからとりあえず行く。だから、行ってみたけど、結局どうにもならなかったということも多いにありえると思います。でも、行けば何か新しい発見もできるので、ナムナニのときはそこから新しい可能性を追求したということですね。





M 当然、そこでは生命の危険もあると思います。

谷口
 だから、生きているという感じはしますね。そのときは、生きるために頑張っている。でも、振り返ったときはめちゃくちゃ楽しいですよ。行くか行かないかの葛藤を乗り越えた自分を知ったから、振り返ったときはうれしいし、楽しかったと思います。

平出 何を持っていくのか持っていかないのか、装備を決めるのも自分たちの責任。あるいは、右から行くのか左から行くのか、方向を決めるのも自分たちの責任。すべてを自分たちの責任において判断しているわけなので、誰のせいにもできない。すべて自分たちで責任を負い、判断するということにすごく充実感を得られますし、それが楽しいんだと思いますね。

M これからも冒険生活を続けていきますか。

谷口
 冒険することに大きい小さいはないと思うんですよね。自分の住んでいる町のなかでの冒険もあるだろうし、ヒマラヤ相手の冒険もあるだろうし。でも、どんな形であろうと、冒険しているから人間は前に進んでいると思うんです。私なんかは冒険がなかったらたぶん死んじゃうと思います。以前の取材で、山に登れなくなったらどうするんですか、という質問をされたことがあったのですが、私からしてみたら、「この人は一体何を聞いているのだろう」と(笑)。例えば、ケガをして山に登れなくなったらどうするんですか、ということを、その人は質問したかったのかもしれないですけど、そうなったらそうなったなりのチャレンジがあると思います。それが新しい冒険の始まりだと思いますから。冒険がない生活というのは、私のイメージのなかにはないですね。

平出 僕は1日でも長く、今やっていることをより追求していきたいな、というのはあります。でも、僕たちはそんなにお金のかからないように活動をしていますけれど、例えば資金が必要だったりとか、冒険をするにしても少なからず必要なものがありますから、もちろん夢は追いかけるんだけれども、社会にも順応していたいなという気持ちもありますね。冒険ができる基盤を作ることも冒険のひとつなのかなという気はしています。

M 今後の予定は決まっていますか。

平出 できれば、2013年はまた一緒に登りたいですね。というのも、僕たちはいつも一緒に登っているわけではありません。お互いがたまに違うパートナーと登ったりすると、よりいろんなものを知ることができて、そして、またふたりで登ることによってお互いが相手のパートナーのことも知ることができる。その分吸収できることも多くなって、お互いにとっていいことですから。そういうこともあって、今年(2012年)は一緒に登らなかったので、来年(2013年)はできれば一緒に登りたいと思っています。

M 具体的なターゲットもあるのですか。

平出 ありますよ。内緒ですけど(笑)。

谷口 やりたいことはすごくたくさんあって、あれもやりたい、これもやりたいという状態なのですが、そのなかのひとつについて、どういうスタイルでやるか、ということを結構協議しています。とはいっても、普段はそれぞれが勝手にやりたいことをやっているので、なかなかふたりが顔を合わせる機会がないんです。今日は(授賞式で)久しぶりに会って一緒にいるという感じなので、またぼちぼち話し合っていこうと思います。

受賞活動についてのインタビューはコチラ
平出氏 http://www.faust-ag.jp/interview/interview050.php
谷口氏 http://www.faust-ag.jp/interview/interview052.php

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ファウスト挑戦者賞
FAUST CHALLENGER OF THE YEAR
ローラ・デッカー
海洋冒険家

単独世界一周航海を最年少で達成







Mephisto(以下M) まずは受賞の感想を聞かせてください。

デッカー 考えてもいなかったことだし、とても光栄です。

M これまでに何か受賞経験はあるのでしょうか。

デッカー これが初めてもらった賞です。私がやったことに対して人々が評価をしてくれるというのは、とてもハッピーなことだし、しかも他の受賞者のみなさんもすばらしい方たちばかり。そのような場所で私も受賞することできて、とてもうれしいです。

M ローラさん自身、世界一周の航海に成功すれば、最年少記録になることは出発前から分かっていたのですか。

デッカー はい、分かっていました。最年少記録の更新を目指して世界一周をしたわけではないですけれど、結果的にそれを達成することができたのはとてもすばらしいことだと思っています。

M 決して最年少記録更新が重要だったわけではない、と。

デッカー その通りです。私がもしもう少し歳を取っていて、最年少記録を更新できなかったとしても、やっぱり世界一周の航海には出たと思います。とはいえ、何かひとつのことを達成できたという意味では、すごくハッピー。私が冒険することによって、人々を元気づけることになればいいなと思っています。

M 今回、ファウストアワードの受賞式のために日本に来ていただいたわけですが、これが初めての来日だそうですね。日本の印象はいかがですか。

デッカー すばらしいですね。みなさん配慮のある方たちばかりなので、初めての日本をとても楽しく過ごしています。

M 授賞式前日には、テレビにも出演されていましたね。緊張はしないのですか。

デッカー 全然しません。私の母はサーカスのピエロをやったり、ストリートパフォーマーをやったりしていますからね。まったく動じることなく人前に出られるという遺伝子を、私も受け継いでいるのかもしれません(笑)。

M 自分の経験をこうやって話すということで、より多くの人に伝えたいという気持ちはありますか。

デッカー 難しい質問ですね。でも、話すことは嫌いではないので、私がこうやって自分の経験を話すことによって、より多くの人が自分の夢というものを、その夢が何であれ、実現できるようになるなら、うれしいことだなとは思います。

M 世界一周の途中で寄港した場所でも取材を受けることはありましたか。

デッカー ときどきありました。ただ、私は事前にいつどこへ行きますと発表しているわけではなかったので、たまたまタイミングが合えば、という感じでした。たまに、これからここに寄港しますということを誰かに伝えたりすると、地元の人が取材に来るということはありました。

M こうやって多くの取材を受けることで、あらためて自分がやったことの大きさを実感する、ということはありませんか。

デッカー はい、それはありますね。最初は、そんなにすごいことをやったとは思っていなかったのですが、こんなにも多くの方々が取材してくださって、「あれっ、もしかして私がやったことはノーマルなことではなかったのかな」と、だんだん感じてきています(笑)。

M 世界最年少記録の単独世界一周航海といっても、ローラさんにとってはノーマルなことなのですね。

デッカー さすがに世界一周は、私にとっても極々ノーマルなこと、というわけではありません。でも、他の人たちの考えに比べたら、ノーマルなことなのかもしれませんね。

M 今後、また日本に来る機会はありそうですか。

デッカー ぜひ戻ってきたいですね。今回は滞在期間も短いので。

M 日本滞在中で何か印象に残ったことはありますか。

デッカー いろんなことが違いましたね。言葉も食べ物もコミュニケーションの仕方も、とにかくすべてが違ったので、興味深かったです。

M 次回は、セーリングで日本に来るということも……。

デッカー 十分ありえますよ。私も次の機会を楽しみにしています。

受賞活動の紹介記事はコチラ
http://www.faust-ag.jp/soul/adventure/soul105.php

日本経済新聞電子版「ファウスト魂」にてデッカー氏のインタビューを掲載中。
http://ps.nikkei.co.jp/faust/interview/vol010.html

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ファウスト社会貢献活動賞
FAUST SOCIAL CONTRIBUTION OF THE YEAR
風間深志
冒険家

冒険家だからこそできる、夢を追う人のサポート





Mephisto(以下M) はじめに今回の受賞の感想を聞かせてください。

風間 僕は元々バイク乗りで、バイクの社会的地位を上げようと思って、30歳のときにあえて「冒険家」を名乗りました。以来、冒険が理解されない社会を経験しつつ、冒険家という肩書でスポンサーがつくようになったこれまでの経緯というか、世の中の変遷を肌身で感じながら、今日まで33年間やって来ました。冒険というものが一般社会に定着し、かつ社会貢献にフィードバックできるものとして評価されるなんて、とっても嬉しいことです。

M 日本では冒険というものへの理解が低いと感じていたわけですね。

風間 ものすごく低いです。冒険家のステイタスなんてほとんどゼロ、「そんな肩書きあるの?」って聞かれるし。野球とか相撲とか、定番のスポーツとは違い、そこからはみ出したものはとても理解されない。でも、そんな中でようやく今回のファウストの社会貢献活動賞というものに選ばれて、自分がやってきたことを評価していただけるというのはうれしいことです。8年前自分自身ケガをして、ちょっとした冒険すらできない人が世の中にいっぱいいるということを初めて知り、「ならば、その人たちの夢を健常者よりもデカいものにしてやりたい」と。だから、2013年2月には車いすの障害者でキリマンジャロ登山をやろうと思っているんです。

M 自ら冒険家を名乗り、自分自身が表現者であった風間さんにとって、人の冒険のサポートに回るという決断は簡単ではなかったのではないですか。

風間 人間誰でも、それぞれに新しい世界とか新しい挑戦がある。だから、冒険というものも身体的条件のなかで人によって様々だし、十人十色。3m先まで行けない人にとっては、そこまで行くことだって冒険、。だったら、それを手助けするのもすごく意味のあることだよな、と。だから最近は、僕は「冒険もいよいよ社会貢献の時代だよ」と言っています。今までは、自分のために一生懸命お金を集めていましたが、そうではなくて、夢に向かっていく他人のサポートというのも、またすばらしいことだと思っています。

M 人のサポートをすることに生きがいを見つけたということですか。

風間 自分もひとりの人間として、自分自身の生きがいとか夢というのは大事だと思っています。そういう意味では「冒険も社会貢献の時代」と言って、例えば、車いすの人たちをキリマンジャロに連れて行ってあげることは、無上の喜びがあります。でも、実は「キリマンジャロから下りてくる時は、足の悪い自分が多分一番遅いんだろうな?」という怖さを感じてます(笑)。

M それはやはり、自分自身が冒険家であったからでしょうか。

風間 本当は自分も「エベレストへ行きたい!」というのが本音です。でも、きっと行けない。行かないまま死ぬんだと思うと、それはすごく辛いことです。今に行くつもりでいたから。そういう自分のなかに秘めた個人の部分で言えば、それはやはり常に挑戦者でいたいし、自分自身が常に新しい空気や緊張感のなかで、またひとつ何かを成し遂げる「成長」を確認しながら生きていきたい。生きることは成長することだと思っていますから。その成長が何かと言うと、挑戦することだと思う。そういう意味では、自分のなかに常に輝く部分を持っていたい。でも、やりたくてもできない人たちがいっぱいいるんだから、その輝くパワーを人のために使うというのも大事なことなんですよね。行きたくても簡単に行けない人が、もしそれでも行きたいと言うなら、その人を連れて行ってやるという役割もなくてはならないなと思っています。

そういう意味では、自分のなかに常に輝く部分を持っていたい。でも、やりたくてもできない人たちがいっぱいいるんだから、その輝くパワーを人のために使うというのも大事なことなんですよね。行きたくても簡単に行けない人が、もしそれでも行きたいと言うなら、その人を連れて行ってやるという役割もなくてはならないなと思っています。

M 自分自身が輝いていなければ、人の手助けなどできないということですね。

風間 もう、それしかないですよね。だって、もう自分自身は杖をついて歩くから、山を下るのは女の子より遅いんですから。上りは女の子よりは速いかもしれないけれど、下りはその何倍もの時間がかかってしまう。でも、それが自分の体なんです。体格、脚力、それぞれに様々な個性があって、それぞれ自分の持てる力のマックスを発揮して生きていって欲しい。だから、これも冒険なのかなと思います。つまり、障害者にも冒険はあるんです。人によっては、高尾山でも立派な目指すべき人生の頂上なのかもしれないし。そういう意味では、広い見識を持って、多くの人間に共通したアドベンチャー・スピリットというものを、みんなで啓蒙し、生活の信条にしていくということはすばらしいことだと思っています。

日本経済新聞電子版「ファウスト魂」にて風間氏のインタビューを掲載中。
http://ps.nikkei.co.jp/faust/interview/vol007.html

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ファウスト特別賞
FAUST SPECIAL PRIZE
田部井淳子
登山家

登山経験を次世代へつなぐ



Mephisto(以下M) 長く登山家として活躍されてきた田部井さんですが、最近の活動を見ていると、自分の経験を次の世代につなげたいという意志を強く感じます。

田部井 私自身、小学校4年のときに初めて登山をした思い出が70歳を過ぎても残っているわけです。自分の体を使って体験したことというのは、本当に忘れ難いもの。ぜひ次の世代の人たちにも、そういう体験をしてほしいな、という気持ちはすごく強いです。

M 東日本大震災の被災者の方とハイキングに出かけたり、高校生を富士登山に連れて行ったり、幅広く活動されていますよね。

田部井 山へ行く人がもっと増えて、この美しい日本の風土を守っていく世代が育っていく。そんな環境作りができたらいいなと思っているのですが、今回この賞をいただいたことは、自分がやっていることを応援してもらっているような気がしてうれしく思いました。山や冒険というものは特殊な人たちの世界で、「私たちにはあんまり関係ないよね」と思っている人たちがいっぱいいたかもしれない。そういう意味でも、山や冒険の世界を一般の人に知ってもらえる機会というのはものすごくありがたいですね。

M その一方で、田部井さんは各国の最高峰に登るという、自分自身の夢も追い続けています。

田部井 そうですね。自分の時間とお金をやりくりして、自分の夢をかなえていく。でも、それだけではなくて、せっかく自分が積み重ねてきたものがあるのだから、次の世代の人たちに残していくというとちょっとおこがましいのですが、引き継いでいくというのも、これまで生きてきた自分の任務なのかなと思っています。

M 人のためと、自分のため。田部井さんの活動はこの二本立てということですね。

田部井 山登りというのは自分のために一生懸命やって、そこで完結するものなのですが、ここまで生きてきて自分だけがニンマリして終わっていいのかな、と。一緒に登山やハイキングをしていて、(被災者の方に)こんなに元気になったよとか、ありがとうとか言ってもらえるのはすごくうれしいことです。自分だけの楽しみでやっていくことも必要だけれども、やはり喜んでくれる人のそばに一緒にいることも必要だなと思います。

M 今回、谷口けいさんと平出和也さんが冒険家賞を受賞されました。彼らの活動、すなわち誰も通ったことのないルートでの登山に挑戦することについて、どんなふうに感じていますか。

田部井 ふたりのことは以前から知っていますが、彼らの気持ちはよく分かります。私自身も若いころは、周りの人から無謀だと言われても自分の夢を実現したいという気持ちが強かったですから。もちろん、生きて帰ってきてね、という気持ちはすごく強いですけれど、だからといってふたりの挑戦を止めるのではなく、応援したいという気持ちです。

M 頼もしい後輩が育ってきたということでしょうか。

田部井 本当にうれしいです。これからまだまだ伸びていく方たちだと思いますし、しかも谷口さんは、「日本の女性のなかにもこういう冒険心を持ってやっている人がいるのか」と、他の女性たちが憧れるような存在。年齢の近い女性をすごく力づけたのではないでしょうか。彼女が受賞したことは私にとっても喜びですね。

M 最後に今後の活動予定を教えてください。

田部井 世界各国の最高峰を登っていくということは自分の夢として続けていきたいと思いますし、私自身の経験を次の世代に引き継いでいくということでは、「MJリンク」(若い女性に登山の楽しみを知ってもらいたいと、田部井氏が立ち上げた組織)での交流も、これからもっともっと濃密にしていきたいです。また、私の出身地である福島県だけでなく、被災地全体の応援という意味では、(被災者の方たちと)ハイキングに行くことで元気になってもらえるなら、これは私自身が動ける限り、続けていきたい。昨日(授賞式前日)も福島から東京に避難してきている方たちと高尾山へ行ってきたのですが、その方たちというのは同じ町の人たちとの関係を断絶して東京へ来ていたわけです。ところが、一緒にハイキングに来てみたら「あら、あなたも東京に来ていたの?」ということになり、思わぬ出会いまで作れた。やはりこういうことが必要なんだなと、改めて思いましたね。また、高校生の富士登山も第2回、第3回と続けていきたい。高校時代に富士山に登ることで、苦しい一歩の先には必ずゴールがあるということを体で感じて次のステップへ進むバネにしてほしいし、それが1年に100人ずつでも積み重ねていくことで大きな力になってくれるはず。そんなことを夢見て頑張っていきたいと思います。

受賞活動についてのインタビューはコチラ
http://www.faust-ag.jp/interview/interview049.php

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JUSTGIVING SPECIAL PRIZE
JustGiving特別賞
日本プロサッカー選手会(JPFA)
*選手会を代表して都倉賢選手が授賞式に出席した

ボールひとつでみんなを笑顔に

Mephisto(以下M) 2011年に起きた東日本大震災の支援に際しては、当時、サッカー界の動きの早さが話題となりました。

都倉 いろいろな方からそう言っていただいたのですが、僕たちとしては、自分たちに何ができるんだろうと思って行動を起こしただけでしたね。



M 都倉さんは現在、ヴィッセル神戸に所属していますが、神戸も1995年に震災に見舞われています。都倉さんの周囲は、余計に支援への意識が強かったのではないですか。

都倉 クラブのスタッフや、当時はまだ小さかった地元出身の選手もいましたからね。実際の経験から物資よりもお金が必要だという話を聞いたので、選手会(JPFA)とは別にヴィッセル神戸としてもすぐに募金活動を始めました。地域社会に貢献するということはJリーグの理念でもありますから、その表われだったのではないかとも思います。

M ジャストギビングのシステムがあったとはいえ、これだけの金額が集まったというのは、アスリートの持つパワーがあればこそ、ではないですか。

都倉 こういう形でのチャリティ活動は正直初めてだったのですが、集まった金額を聞くと、僕らが発信することで何か伝わるものがあったのかなと、それはサッカーをやっているものとして素直にうれしかったですね。

M それこそがスポーツの持つパワーということですよね。

都倉 アスリートに限らず、アーティストの方でもそうですが、歌やスポーツにはすごい力があるんだなと、あらためて感じました。僕は小さいころから当たり前のようにサッカーをやってきましたが、今回の震災を通じて、実はこれだけの人たちを勇気づけているんだという、スポーツの持つ力の大きさを教えてもらいました。それを客観的に知ることで、自分たちが当たり前にやっていることの意義だとか、目的だとかいう部分も明確になったような気がします。逆に言えば、僕たちはサッカーを通じて何かをすることしかできませんからね。被災地へ足を運んだときでも、ボールひとつあれば、みんなが笑顔になってくれる。それは本当にうれしいことです。

M 昨日(授賞式前日)も、女川と石巻を訪れてきたそうですね。

都倉 震災直後は国を挙げてのブームと言うと変ですけど、そういった支援の雰囲気がありましたが、あれから1年、2年と経とうとしているなかで、関東地域では震災に対する関心度が4割下がったというような話も聞きます。それが関西、九州というように被災地から離れていけばいくほど、もっと数字は下がっていくのかもしれません。そんな状況のなかで被災地の実態を肌で感じるのは重要なことだと思います。実際、僕たちの日常生活のなかでは、家の1階が浸水していて、2階だけで暮らすなんていうことは絶対にない。あれだけの津波の後なので、地盤沈下なんてたいした被害に感じないかもしれませんが、長く続けば精神的には相当辛いだろうし、毎日ストレスを抱えて暮らすことになると思います。そういう生活の様子を生で見て、これからも継続的に支援を、というより、これまで以上にやっていかなければならないなと、昨日もすごく感じましたね。

M まだまだ被災地は大変な状況にあるということですね。

都倉 場所によっては観光客が増えて、経済的に潤ったりしている地域もあるみたいですけれど、それこそ昨日行った女川は町がまるごと流されてしまったので、他の地域ほど情報を発信する手段がない。本当の被害状況が周りに届いていない地域は、他にもまだまだたくさんあると思います。より多くの人が実際にそういった場所へ行って被害状況を発信することで、みんなが震災を忘れることのない環境を作るということも、すごく大事なことだと思いました。お金とか物資とかを提供するのと同じくらい、常に情報を発信し続けるということが大切なんだと、昨日は改めて感じましたね。

M JFPAとして考えている、今後の支援活動はありますか。

都倉 何か新しいことをやるというよりは、常に情報を発信し続けて、チャリティというものをより多くの人に理解してもらい、より身近に感じられる環境作りをしたいですね。選手会としても、いろいろな人たちの協力を得ながら、チャリティサッカーやオークションなどを開催してきていますが、サッカー選手やアスリートなど、社会的な立場がある人が情報を発信し続けることが大切だと思いますから。新しいことをやるというよりは、今までやってきていることをやり続けること。それが大事だと思います。

 

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  • ◎授賞式の模様はコチラ

Faust Profile

Who is Mephisto ---メフィストとは

人生のすべてを知ろうとした、賢老人にして愚かな永遠の青年「ファウスト」(作:ゲーテ)。この物語でメフィストとはファウストを誘惑し、すべての望みを叶えようとする悪魔。当クラブ「Faust Adventurers' Guild」においては、Faustの夢と冒険の物語をサポートする案内人であり、彼らの変化や心の動きに寄り添う人物。時に頼れる執事、時に気の置けない友人のような存在は、『バットマン』におけるアルフレッド(マイケル・ケイン)、『ルパン三世』における不二子&次元&五右衛門トリオのようなものか? 今後、Mephistoは各クエストの終わりにFaustの皆さまの心を探りに参ります。どうぞよろしく。

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