ソーラー飛行機プロジェクトにさらなる進展!
“昼夜連続飛行”成功で世界一周が射程圏内に
ソーラー飛行機プロジェクトにさらなる進展!
“昼夜連続飛行”成功で世界一周が射程圏内に
石油に代わる持続可能な代替エネルギーを見つけ出すことが命題となっている昨今、その鍵を握る挑戦として世界中から注目を集めているのが、スイス人冒険家ベルトラン・ピカール氏率いる「ソーラー・インパルス・プロジェクト」。太陽光エネルギーを利用した飛行機での世界一周に挑む彼らは、「太陽光を電力に変換するシステムの実用性を証明することによって、環境問題に悩む地球上の生命を守る手段を見つける(ピカール氏)」ことを目指しています。当クラブも、そんな地球への強い愛情と開拓者精神を持つ彼らにプロジェクト始動直後から注目し、試作機の完成(2009/5/7)、本格的なテストフライト成功(2010/04/22)といったニュースをお伝えしてきました。そして去る7月8日、さらなる大きな進展が! なんと、有人ソーラー飛行機としては世界初となる、昼夜連続飛行に成功したのです!
パイロットのアンドレ・ボッシュベルグ氏が操縦する試作機HB-SIAは、7月7日の早朝6時51分にスイス・ペイエルン空軍基地を離陸。その後、太陽光エネルギーだけで26時間9分間も飛び続け、翌日8日の朝9:00にペイエルン空軍基地へ無事、帰還しました。当日は晴天に恵まれ、日中のフライトでは主翼に搭載したソーラーバッテリーセルでスムーズに充電。そして、日没後はこの電気を動力とし、4つのプロペラを回転させて翌朝まで飛び続けたのです。
太陽光エネルギーを用いたフライトでは、既存の飛行機以上にパイロットの飛行技術が問われる。夜間飛行においては、日中に蓄えた電力しか使えないため、最小限の消費電力で飛ぶ技術が必要となるからだ。
26時間9分に及ぶフライトのダイジェストは、こちらのムービーをチェック。(画像クリックで動画を再生)
「私はパイロットとして40年のキャリアを持っていますが、今回のフライトはその中でも特別なものでした。太陽光を浴びて充電レベルが徐々に上がるのを操縦席で見つめていた際、果たして僕らは夜を徹して滞空できるのだろうか……と不安が脳裏をよぎりました。それだけに、その後、夜明けを告げる日の光を浴びて、太陽光エネルギーが再び飛行機に注ぎ込まれるのを感じた時はとても感慨深い瞬間でした」
ボッシュベルグ氏がフライト直後に発した言葉からは、昼夜連続飛行という快挙を成し遂げた喜びとともに、今回挑んだフライトが非常に難易度の高いものであったことがひしひしと伝わってきます。実は、今回のフライトは当初の予定では7月1日に決行するはずだったのですが、直前になってテレメンタリーシステム(運行状況を地上に送信するための機器)の故障が発見され、延期を余儀なくされていたのです。今回のフライトは、そんな状態からいきなり26時間超の昼夜連続飛行に挑み、成功させたのですから、その感慨はひとしおでしょう。
「この成功は貴重な一歩だ! 一滴の化石燃料を使うこともなく、大気を汚染することもなく、再生可能なクリーンエネルギーによって永久飛行ができる……そんな我々の発言に真実味を与え、その実現にまた一歩近づいたんだ!」
同プロジェクトの発案者であるピカール氏は、HB-SIA機が着陸した瞬間、こう叫びながらパイロットのアンドレア氏に近寄って行きました。そして、二人は両目に涙を溜めて抱き合いながら喜びを分かち合いました。ピカール氏が、同プロジェクトを着想したのは、いまから11年前のこと。その後、時計ブランドのオメガ、ドイツ銀行、ソルベイといった主力パートナー、そしてローザンヌ連邦工科大学を始めとしたアドバイザーたちのサポートを得ながら、プロジェクトの実現に向けて着実に歩を進めてきました。その道程は決して平坦なものではなく、飛行機の開発には7年の歳月を費やし、最初のテスト飛行では350mしか飛べず……と、いくつもの困難と失敗を乗り越えての快挙でした。
昼夜連続飛行を成功させたことで、世界一周飛行という目標の実現に向けて大きく前進した「ソーラー・インパルス・プロジェクト」。彼らは次なる目標として、長距離飛行のテストを兼ねた“大西洋横断飛行”に挑戦する予定です。ちなみに、この大西洋横断飛行には、現在の試作機に改良を加えた新型HB-SIB機で挑むらしく、その製造に今夏着手するとのこと。彼らが世界一周飛行を敢行するのは、2012年。今回の大躍進でいよいよ現実味を帯びてきたプロジェクトの動向から、今後も目が離せません!
Solar Impulse(ソーラー・インパルス・プロジェクト)
http://www.solarimpulse.com
プロジェクトをサポートする時計ブランド『オメガ』の公式サイト
http://www.omegawatches.com/jp/spirit/pioneering/solar-impulse
Text:Faust A.G.
photo:(c) Solar Impulse/AFD/Pool/Fabrice Coffrini/
2010/07/22
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