蝋燭と満天の星
砂漠のオアシスにある究極のエコホテル
蝋燭と満天の星
砂漠のオアシスにある究極のエコホテル
トップ写真:ホテル外観
上写真:泥と塩を混ぜた伝統的な工法で建築。オリエンタルな雰囲気。
夜はホテルのあちこちに蝋燭がともされる
エジプトは、国土のなんと90%が砂漠。ということは、残りの10%のなかで人々は暮らしていることになります。スフィンクスやピラミッドなどの古代遺跡を訪ねるクラシックな旅もいいですが、よりファウスト的にエジプトを堪能するには、古代への幻想を書きたてる、静寂の砂漠のオアシスへの旅はいかがでしょう?
めざすのは、エジプトの首都カイロから西へ約560km、リビア国境に近いエジプト西方砂漠のなかにあるオアシスの町シーワです。紀元前332年、アレキサンダー大王はペルシャ帝国への侵入前にこの地を訪れ、古代エジプトの太陽神アメンから信託を受けたという聖地があることで知られています。
このシーワにある湖の畔に、切り立った岩山ホワイト・マウンテンに完璧に同化したホテル「Adere Amella(アドレ・アメラ)」があります。興味深いのは、壮大な歴史を実感できる町にあるという立地条件だけではありません。現地の自然や伝統を守り、生かして、環境への負荷を最小限に抑えた“エコホテル”なのです。
とはいえ、このホテルに泊まるには、ある程度の覚悟が必要かもしれません。エアコンどころか電気もないからです。電話も、ありません。携帯電話は、客室の外では使用を遠慮していただいているとのこと。といっても、電力がないので充電ができませんが……。
ホテルの光源となるのは、蝋燭とランプ、そして満点の星。気温が下がる季節には、火鉢で暖を取ります。電気のない場所にいながら、砂漠の風から建物を守り、室内の気温を快適に保つことができるのは、古人の智恵を継承した建築技法のおかげ。伝統技法とは、塩湖から採取した塩と土地の泥を混ぜたカルシフ(Kershef)という材料を使うこと。さらに天井には椰子の木、ドアや窓にはオリーブの木を採用。ちなみにガスはあるので、お湯は使えるそうです。
食事は、地元の農家が栽培したオーガニックの野菜やハーブを使った料理。さらにプールの水源は、近くにある天然温泉からひいているそう! ホテルを構成する要素のほとんどが、自然界の恵みであるといっても過言ではありません。砂丘や城砦など、周辺には歴史的なスポットもあり、ツアーも提案されています。土壁に囲まれた客室で、また眼前に砂漠と湖が広がるテラスにいるだけでも、古代エジプトの世界に迷い込んだかのような体験ができるはず。
シーワでは2007年に、300万年以上前の最古の足跡が発見されました。現代文明から隔離された場所で、人類の起源と長い歴史に思いを馳せてみれば、まさに再生、リフレッシュの旅になるはずです。
Adrère Amellalアドレ・アメラ
18 Mansour Mohamed Street Zamalek Siwa, 11211 Egypt
1泊$605(全食、飲み物、シーワと砂漠の1日ツアー付き)
http://www.adrereamellal.net/
2010/01/28
Text: Chiaki Mitomi
Photos:Omar Hikal, Khaled Nagy
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