ローラン・フェリエは、2009年にジュネーブで設立された新しい時計ブランド。もともと3世代にわたる時計職人の家で育ったローラン氏は、自らの名を冠した時計を作り、その伝統をいまに受け継いでいます。彼は孤高の時計ブランドとして知られるパテック・フィリップで37年間在籍し、多くの実績を残してきた人物です。今回、ローラン・フェリエから新作時計〈ガレ クラシック トゥールビヨン ダブルスパイラル〉が、東京・銀座の時計店アワーグラスで発表されました。そして同時に時計技師のミシェル・ナヴァス氏も来日。入荷して間もない新作時計についてお話を伺ってみました。

――どんな経緯でローラン・フェリエの時計と関わったのですか？
私はオーデマ・ピゲ、ジェラルド・ジェンタ、パテック・フィリップ、フランク・ミュラーと言った時計ブランドで仕事をしてきました。実はパテック・フィリップに在職中にローラン・フェリエ氏とは出会い、後に一緒に仕事をすることになったのです。

――とても素晴らしい経歴ですが、なぜローラン・フェリエでの仕事を選んだのでしょうか？
それはフェリエ氏が時計会社を辞められ、大量生産ではない古典的で希少性の高い時計を作ろうとしていたことと、それを作るにはフェリエ氏自身の時間が限られているということがあり、私も直ぐに決断しました。

――それでは、今回の時計「ガレ クラシック トゥールビヨン ダブルスパイラル」について伺わせてください
この時計は、一見シンプルなドレスウォッチで、2針とスモールセコンドのモデルですが、トゥールビヨンがまるで潜んでいるかのように、ケースの裏側から見える構造になってます。そしてこのトゥールビヨンには、互い違いに動く2つの逆巻きのバランス・スプリングが採用され、テンプ軸の重心を安定させています。これにより、トゥールビヨン自体でももちろん重力を相殺して精度を高めることができるのですが、これはそれよりさらに安定した効率が得られるということなのです。

――時計の心臓部とは、テンプであり調速機なので、このトゥールビヨンはさらに高性能な心臓ということですね。
そうです。またこのトゥールビヨンを支えるのに重要な部品がブリッジで、エッジの部分が手仕事で面取りされているのです。それ以外にも、長期間の使用にも耐えうる精密で頑丈なムーブメントの構造、控えめで普遍的なスタイルなども、この時計の特徴だと思います。

聞けば聞くほどこの美しい佇まいの時計の魅力は尽きない。きっと時計作りの未来には、こうしたこだわりの古典的技術が永遠に引き継がれていくに違いない、そんな思いにさせてくれた究極のドレスウォッチでした。