英国のスーパーカーを“TOP GEAR”で試す!
マクラーレン MP4-12C
英国のスーパーカーを“TOP GEAR”で試す!
マクラーレン MP4-12C
自動車業界ではメジャーなブランドのひとつに数えられるマクラーレン。これまで市販車は数えるほどしか販売していないが、ホンダエンジンで戦ったフォーミュラマシンや、3人乗りのマクラーレンF1といったロードゴーイングマシンはいまも語り継がれる。もちろん、記憶に新しいところではメルセデスと組んだマクラーレンSLRもそのひとつ。マクラーレンの手によりメルセデスのイメージをグッとレーシーにした。ちなみに、この会社はベビーカーをつくってはいないのでそこは誤解のないように。英語表記でスペルが異なるようにまったく関係はありません。
そんなマクラーレンが送り出した現代の市販車がここで取り上げるMP4-12Cである。今回はどこともコラボすることなく、完全なオリジナル•プロジェクトとなった。
名前の由来はカーレースに詳しい方ならおおよそ予想はつくであろう。“MP4”はロン•デニスが関わってきたマシンすべてにつけられるプロジェクトネーム。これまでずっとフォーミュラマシンを中心にあてがわれてきたコードネームだ。そして“12”は、実際は8気筒エンジンではあるが12気筒並みのパワーを指し、“C”はカーボンファイバーを意味する。考えてみてほしい。これまで長年レーシングカーをつくってきた彼らはどの自動車メーカーよりもカーボンファイバーのオーソリティなのだ。。
7月初旬、そのMP4-12Cに乗る機会を得た。場所は英国BBCのTV番組「TOP GEAR」で知られるダンスフォールドのサーキット、というか飛行場の一角。それと周辺に位置する若干の一般道があてがわれた。サーキットの表面は荒くかなりバンピー。一周でこのクルマの乗り心地のよさが感じとれたほどだ。が、同時にジェレミー•クラークソンらがここでよく無茶なスピードで走り回ると感心した。ひとことでいうと、楽しいけど危ない。
試乗に用意された今回のクルマはすでに日本に上陸しているものと同じスペックであった。もちろん細かい仕様は異なるが、このクラスになればすべてがビスポークと考えるのが正しい。つるしで買う人はいないし、用意されたオプションで満足する輩もいない。
なので、パワートレーンはオフィシャルのスペック通り。3.8リッターV8+ツインターボは最高出力600psを発揮する。しかもけっこうな高回転型で7000回転に達するとピークパワーを出すというシロモノ。それじゃ少々扱いにくさもあるのではと思ったが、太いトルクがそれをカバー。最大トルクは3000回転から600Nmという最大値を発生させる。その恩恵か7速デュアルクラッチをATモードにしていても走りに力強さを感じないことはなかった。さすが毎日乗れるスーパーカーとプレゼンで言っていたのはホンキのようだ。
乗り心地に関してはサスペンションのセッティングを“ノーマル”にしておけばOK。前述したように乗り心地はイメージ以上に人に優しい。今回みたいな表面がボコボコした路面でも突き上げやシェイクもなくフラットに走る。ところが、これを“スポーツ”、さらには“トラック”といったようにレーシーなモードに切り替えていくと、それまでとは性格がガラリと変わるからおもしろい。コーナーでの粘り腰がどんどん強まってきて、かなりの速度域でもピタッと路面に張り付く。しかも、パワートレーンと書かれたダイヤルも“トラック”にすれば本領発揮とばかりにドライバーをレーシーな世界へ誘う。フラップの開いた排気管は爆音を奏で、アクセルに対するピックアップもクイックになる。こりゃまんまレーシングカーだ!
よって挙動はミッドシップらしく自分を中心に弧を描くようにコーナーへ進入する。スッとステアリングを切ったときの一体感はカーボンとアルミフレームの賜物だろう。堅牢なボディはかなりクイックに反応する。ボディが軽く感じるのもそれに起因する。これはまるでボディパネルのないカート感覚。カーボン効果は想像以上に高い成果を生み出している。また、明らかにレーシングマシンからのフィードバックとしてエアブレーキを採用している点も見逃せない。“スポーツ”か“トラック”モードにしておくと、ブレーキに連動してリアスポイラーが90度近くまで立ち上がり空気抵抗を強めるから驚いた。確かこれと同じような装備はブガッティ•ヴェイロンにもあったが、それ以外は見たことない。
さてさて、そんなMP4-12Cにスパイダーが追加されたのもニュースのひとつ。今回生産ラインの見学中偶然遭遇したが、かなりいい仕上がりだったとだけ言っておこう。8月のペブルビーチでお披露目され、パリサロンで大々的にアナウンスされる予定だ。個人的に気に入っているのは、オープンモデルでありながらリアエンジンがガラス越しに拝めること。実はアウディR8スパイダーの発表時にそこが塞がれてしまってガッカリしたことがある。やはり見せてナンボのスーパーカーですからね。そこは研究していただかないと。
最後にこのクルマにはドアハンドルがないことをお知らせしておこう。開け方はここでは内緒。興味のある方は青山通りのショールームで体験してみてください。これを知っているとちょっと尊敬されるかも……。
マクラーレン 公式ホームページ(英語)
http://www.mclarenautomotive.com/uk/default.aspx
Text:Tatusya Kushima(Motor Journalist)
2012/08/02
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