空から降り注ぐエンジンサウンドが
別次元の魅力へ誘う
空から降り注ぐエンジンサウンドが
別次元の魅力へ誘う
「R8 SpyderはV10エンジンのモデルしかありません。マーケティングの結果それがベストだと考えたからです」
このアナウンスは、春先にニースで行われたメディア向けR8 Spyderの試乗会で発せられた、アウディ開発陣によるコメントです。
R8 Spyderは――と、話を進める前に、R8 Spyderの基本となるR8 Coupéの解説を少しばかりしたいと思います。
2007年にリリースされたこのクルマはアウディのスポーツカー部門のフラッグシップとなります。アルミスペースフレームからなるボディコンストラクションにミッドシップレイアウトというパッケージングが基本骨格で、そのノウハウはル・マン24時間耐久レース用マシンからフィードバックされました。その意味では、ナンバープレートを付けたレーシングカーといった感じです。
エンジンは当初4.2リッターV8のみという設定でしたが、その後5.2リッターV10が追加されました。マックスパワーはV8が420ps、V10が525psです。軽量化ボディとバランスのいいレイアウトはそれほどパワーを必要としないと思われましたが、やはりこの領域は他社とのパワー競争がものすごく、結果500馬力オーバーのエンジンが搭載されたと思われます。
もはやライバルはイタリアンエキゾチックカーに代表されるスーパーカーですから。ちなみに、このV10はRS 6と共有ですが、マウント位置が変わることとクルマの性格に合わせた改良が行われています。
さてさて、話をSpyderに戻しましょう。
Spyderはこのタイミングで登場しましたが、コンセプトワークはCoupéと同時に行われていました。最初のドローイングから屋根開きは存在したわけです。時期をずらした理由はふたつで、ひとつは開発に関わる人手が足りず同時に作業できなかったこと、そしてもうひとつは販売戦略上の計画です。こういったニッチモデルはモデルサイクルが長いため、定期的にグレードを追加して話題を集める必要があるからです。
では、Spyderの詳細ですが、屋根は収納スペースが少なく軽量化の役に立つキャンバス地が採用されました。電動で稼動し、約19秒で青空が広がります。しかも、時速50キロ以下なら走行中に開閉できます。実は試乗時のニースの天気は雨が降ったりやんだりの繰り返しだったので、これが大いに役立ちました。ただ、残念なのは幌をしまうスペースをとったことで、Coupéにあったエンジンを囲っていたガラスはなくなりました。まるで芸術品を拝むようなあのカバーがないのは悲しいですね。まぁ、物理的にムリなのはわかりますが……。
ところで、冒頭に記したV10エンジンにのみSpyderを設定した理由ですが、それはすべて装備されたものが欲しいという富裕層の要求にこたえた結果といえます。アストンマーティンがフラッグシップのDBSに後からヴォランテ(オープントップ)やリアシートを追加したのと同じです。で、このV10 Spyderは新たな魅力を発揮します。それはエンジンサウンド。屋根がないことで直接耳に入ってくるアウディらしからぬ(?)ワイルドなサウンドは、ドライバーのアドレナリンを分泌させることでしょう。襲い掛かる加速Gフォースとともに、別次元へ誘われるのです。
Audi R8 Spyder
全長4434×全幅1904mm、
エンジン:5.2リッターV10DOHC FSIガソリン直噴、
最高出力525ps/8000rpm、トランスミッション:6速Rトロニック
駆動方式:クワトロ4WD、価格:2250万円〜
*本年2月より予約開始、デリバリーは11月より。
公式サイト
www.audi.co.jp/r8spyder
Test Driving & Text: Tatsuya Kushima(Motor Journalist)
2010/06/03
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