ファウスト・アドベンチャラーズ・ギルド ようこそ。地球を遊ぶ、冒険家ギルドへ

07 ROAD

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Vol.5
目指すは世界の大空!
日本初のエアロバティック競技会に挑む

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空気中のホコリが早朝降った雨と風でクリアとなり、眩しいほどの日差しが降り注ぐ「ふくしまスカイパーク」。
10月の3連休、レッドブル・エアレーサーとして知られる室屋義秀氏の華麗なエアーショーと国内初の全日本曲技飛行選手権を一目見ようと多くの観戦者が訪れていた。そして出場選手には優勝を狙うファウスト・エアロバティックチームのキャプテン、芦田博の姿もあった――。

 

喩えるなら空中のフィギアスケート。
空のBOXで正確さと美しさを競い合う

10月9日から11日かけて国内では初となる「第一回全日本曲技飛行選手権」が開催された。会場は吾妻連峰をはじめ、美しい山々に囲まれた福島県の「ふくしまスカイパーク」。
決勝が行われる2日目の早朝はどこかで雨が降ったのか、美しい虹が架かっていたという。雲の流れが速く眩しいくらいの日が差し始め、そのお陰で気温も上昇、絶好の観戦日和のように思えた。ところが天気は回復しても、雲が低く競技のスタート時間がなかなか決まらない。





「こういう曲技飛行選手権で待ち時間が長いのはいつものこと。数時間だけじゃなく、天候によっては数日間ということもある。この待ち時間でモチベーションを落としてしまう選手もいるんです」とファウスト・エアロバティックチーム“アンリミテッド”のキャプテンを務める芦田博氏は語る。
会場は2日間で2万人を集めるほどの人気ぶりで、親子連れやアマチュアカメラマンの姿が目にとまる。“空を飛ぶ=男のロマン”と喩えられるように、機体を間近で見たい、あるいは写真に撮りたいという男性の姿と、想像以上に女性の姿も多く見られたのには驚いた。
さて、予定の時刻になっても機体は飛びそうにない。選手達も格納庫周辺で空を見上げる。観客は、晴れているのになぜ競技が開催されないのかイマイチ状況が把握できていない様子。そんな中、競技内容を説明するDJのアナウンスが流れ、その後、ファウスト・エアロバティックチームのスーパーバイザーでもあり、日本No.1の実力を誇る室屋義秀氏のアクロバット飛行が披露された。彼の素晴らしいパフォーマンスを食い入るように見つめる観客たち。ほかの選手達も見入っている。そして、会場には大きな歓声と拍手が響いていた。

周囲の音をシャットアウトし、
イメージトレーニングを繰り返す

格納庫の脇で一人、イメージトレーニングする選手の姿。その中で外部の音を遮るためか、耳にはイヤフォンをしてイメージトレーニングに集中する芦田氏の姿があった。角度や高さ、タイミング、そのときのスピード……。手のひらを機体に見立て、細かくイメージしていく。
種目の規定マニューバ(演技)は年のはじめに発表され、一年間は同じ規定マニューバで行われる。ゆえに後半になればなるほど、選手達も練習を積み重ねていくため接戦となる。秋に開催される競技会はまさに選手達の集大成なのだ。
大会はジャッジ5名によって審査され、選手達は1キロ四方の競技ボックスの中で一連の規定マニューバを5分以内に決められたシークエンスで飛行する。マニューバ数は10科目。採点は基準に沿って減点法で行われる。タイムオーバーするとオーバーした後のマニューバは採点外となる。
今回行われた競技のクラスは、初級者向けで無理のないテクニックが要求されるプライマリー(Primary)と10科目をこなすスポーツマン(Sportsman)。芦田氏が出場するスポーツマンには前日トップで通過した若手の小幡重人選手と岩田圭司選手ら国内の強豪8名が出場する。顔なじみではあるが、真剣勝負。
「出場するメンバーの中で岩田氏はチームアドバイザーの室屋氏の先輩にあたる存在。すでに国内外の競技会に数多く出場し、今回一番気になる存在でした。また小幡くんは学生で、アクロバットの競技を始めて2年目。まだ日は浅いけれどすでに試合を経験し、この夏にはアクロバット飛行の本場、ヨーロッパで1ヶ月の訓練を受けて帰って来たばかり。正直なところ想像以上に腕を上げていた」
前日のKnown(ノーン、種目の一つ)では規定のマニューバをシークエンスで飛行し、スコア1066で3位の結果に終わった芦田氏。最終日はFree(フリー、種目の一つ)だが、今回はKnownと同じマニューバとシークエンスで行われる。昨年のプレ大会で優勝している意地もあり、この日の飛行に賭けていた。ところが天候の影響で全選手の飛べる回数は、2回から1回へと減らされた。「そうなる可能性を踏まえた上で毎回実力を出し切らなければならない」と、彼は改めてそれを悟ることとなった。
選手達の競技が始まると観客達は一斉に空を見上げる。なんだか不思議な感じだが、これが空の競技会の光景。早朝の雨と風で空気が澄み渡り、日差しが眩しいほどだった。DJのアナウンスに耳を傾けながら手をかざして機体の動きを見る。
芦田氏の表情には笑顔と同時に言葉の節々から緊張感も伝わってくる。前日の凡ミスが脳裏から離れないのだろうか……。彼は仲間からの声援を受けながら機体に乗り込み、滑走路に走り出した。
「ゆっくり、なめらかに飛ぶことを心がけていました。腕立て伏せをやってカラダの力を抜いたり、本当にちょっとしたことなんだけれど、それが演技に響くことがあるんです」
カリフォルニアのエアロバティックス競技大会を経験し、その後はこの日に向けてできるだけ時間を作っては富士川滑走場を訪れ、トレーニングを積んできたという。そして2週間ほど前に機体を「ふくしまスカイパーク」へ移し、彼自身は一週間前に現地入り。アドバイザーである室屋氏の指導の下で調整を行っていた。

この悔しさを次の大会へ。
来年はインターミディエイトに挑戦!

フライトを終え、格納庫へ戻ってきた芦田氏の顔は、全力を出し切り緊張感から解放されたという表情へと変わっていた。
最終リザルトはベテランの岩田選手が優勝。現役大学生の小幡選手は前日スコア1170と首位に立ったが、2日目の演技でミス。結果2位に終わった。そして芦田氏は3位。

「悔しいですね。全体には平均よりは上だったけど、ただKnownの8番目のマニューバ、インメルマンターンで操縦桿を引きすぎて失速しバランスを崩したことが減点となってしまった。練習量も足りなかったし、室屋さんから受けたアドバイスをやろうと思うほどカラダに力が入ってしまった。でもこの経験を次に生かします。来年はこの全日本曲技飛行選手権でインターミディエイト(Intermediate)のクラスが増える予定なんです。室屋さんの出場する上級クラスのアドバンス(Advanced)とは比較になりませんが、これはスポーツマンに比べて複雑な演技が要求されます。来年、国内外の大会はこのインターミディエイトに挑みたい」
インターミディエイトになると規定演技のKnownの他に、自身で構成したFree、そして前日に科目の書かれたカードが渡されて翌日にその演技を行うUnknownが加わる。当然練習を積んでおかなければ応用は利かない。
初開催された全日本曲技飛行競技会では、今後優勝者を日本航空機操縦士協会の推薦により、世界の競技会に出場できるように検討していくという。
さらなる上を目指し、芦田氏の挑戦は続く。

Data

開催日程:平成22年10月9日(土)、10日(日)、11日(月・祝)
会 場:ふくしまスカイパーク(福島県福島市)

問い合わせ先 
「第一回全日本曲技飛行選手権」事務局(有限会社パスファインダー)
E-mail:hiromi.hashimoto@path-finder.co.jp

 

全日本曲技飛行競技会 http://teamdeepblues.jp/championship/
チーム・ディープブルース http://teamdeepblues.jp/
ふくしまスカイパーク  http://www.ffa.or.jp/fsp/

 

 

Profile

芦田博(あしだひろし)

株式会社ディープブルース取締役 。1967年、千葉県生まれ。1993年テレビCM制作会社に入社。映像ディレクター、プロデューサーとして、テレビCM、イベント演出映像等、多くの作品を手がける。2000年、株式会社ディープブルース設立。不動産、飲料、通信、コンピュータ、エンターテインメントなど各大手企業におけるマーケティング戦略を中心として、映像、イベント、WEB制作等、多くの広告制作に携わる

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