ファウスト・アドベンチャラーズ・ギルド ようこそ。地球を遊ぶ、冒険家ギルドへ

07 ROAD

画像

Vol.19
2012シーズン初戦を3位表彰台で飾る!

  • LINEで送る

スーパー耐久2012シーズン開幕戦となる「SUPER TEC」が富士スピードウェイで開催された。テストデイから好調を維持するファウスト・レーシングチームは、レース中、幾度もマシントラブルに見舞われたものの完走を果たし、クラス3位で表彰台に上がった。その模様をレポートする。

1-2日目―公式練習

フルタイム走り込んだフリー走行



全6戦で争う2012スーパー耐久シリーズ、参戦5年目の初戦の舞台は国内屈指の高速サーキット「富士スピードウェイ」。スーパー耐久の歴史において、富士が初戦となるのは今回が初めて。夏の耐久に比べれば気温も低く、エンジンにとっての条件が良いため、例年以上のハイスピードバトルが期待される一戦となった。

今年のスーパー耐久は全6クラス。Faust Racing Team(以下Faust RT)が競うST-1クラスは、昨年までのトップチーム「ペトロナス」がGT3クラスに移行したため、シリーズの年間優勝も視野に入れた戦いとなる。レース2週間前に行われたテストデイでは、マシンの仕上がり状態も良く、ドライバー達の感触も上々だった。

レースは日曜に予選、決勝が行われる1デイレース。2デイレースに比べれば、日曜のタイムテーブルはきつくなるが、金曜・土曜の3本の公式練習が、時間に余裕のあるスケジュールとなる。アマチュアドライバーが集うFaust RTにとっては、スキルアップに繋がるドライバー同士のコミュニケーション時間がたっぷり取れるのはありがたい。

その公式練習、金曜午後の1本目は雨で路面はフルウェット。土曜日午前中の2本目はウェットからセミウェット、午後の3本目はセミウェットからドライへと変わるコンディション。予選・決勝のある日曜日の予報が「晴れ」のため、1本目、2本目のウェット走行を手控えるチームがある中、Faust RTのドライバーは、走行時間は無駄にできないと、フルタイムで走りこみを行った。

その土曜午後の最終3本目の練習走行。翌日予想されるドライコンディションを見据えれば、最も大事なセッションとなる。1時間の走行枠、まず最初に乗った佐藤が、まだ小雨がポツポツと落ちる中、1分51秒台のタイム。雨がやみ路面が完全ドライ方向へと変わる途中、続く岡本が1分50秒台、最後の堀も49秒台へとタイムを上げていった。

ところが、走行を終えて帰ってきたドライバーからは、2週間前のテストデイに比べストレートが伸びないという指摘。コーナーでもギア選択に迷うほど感触が違うようだ。タイムもテストデイほど出ていない。翌日の予選・決勝に向けたミーティングの中で、車高を落とすなどして調整が行われることとなった。

レース当日―予選

走りこみ成果の出た予選アタック

3月25日、日曜。天気予報通りの晴天。進行の詰まった1デイレースのため、予選は8時40分からと朝早い。富士スピードウェイ周辺の畑では霜が降りるほどの寒さだ。外気温は5℃、路面温度1℃(8時)と身体も凍える。メカニックはマシンのラジエターにガムテープを貼り、予選アタックに備える。



スーパー耐久の予選は3人のドライバー(A/B/C)のうち、Aドライバー+Bドライバーの合計タイムで競われる。今予選ではAドライバー堀、Bドライバー岡本、Cドライバー佐藤の布陣となった。

AドライバーとBドライバーの予選は各15分。計測は最大でも6~7周となる。トップバッターの堀はアタック1周目に1分51秒台、2~4周目に1分48秒台とタイムを上げる。練習走行で懸念されていた「高速域が伸びない」点は解決され、ストレートでもリミッターにあたっている。5周目には1分47秒471の自己ベストをマーク。テストデイの速さが「一発」ではないことを証明した。

昨年の予選で、同じマシン/BMW Z4 Coupeを使う、ペトロナスチームのプロドライバーの最高タイムが1分47秒237であったことを考えれば、気象条件、路面条件、マシンの性能(リアタイヤのサイズアップ)の差があったとしても、胸を張れるものだ。

ピットに戻ってきた堀は、ドライバーコーチである山野の頬にキス。設定タイムをクリアした場合の謝礼を、昨晩、約束したからだ。男同士の戯言にピット内は爆笑する。

Bドライバーの岡本も2周目で1分49秒台を出し、3~4周目で1分48秒台とスムーズにタイムアップし自己ベスト。5周目には1分47秒855と、さらにベストを更新。昨年、ここ富士でコースアウトして以来、スランプとも言える不振に陥っていた岡本はこれで立ち直った。予選後、本人も「もう富士に対するトラウマはない」と復活宣言。「堀さんから1秒以内」と、自ら設けたハードルもクリアした。

Cドライバー予選は基準タイムをクリアすればよいので、通常は全力アタックは行わない。佐藤はアウトラップと計測1周目のタイムアップを課題として臨んだ。これは今までの本番レースで序盤のペースが思うように上がらなかったことの対策だ。結果、計測1周目に1分50秒台をマーク(3人の中で最速)。課題を見事にクリアしてみせた。ベストラップも全クラス混走でクリアラップの取りにくい中、1分48秒台の自己ベストを出して見せた。

決勝のスタート順位を決めるAドライバー+Bドライバーの予選合計タイムは、クラス2位のフェアレディZにわずか0.1秒及ばなかったが、勝つにせよ、負けるにせよ、緊張感のある決勝レースになることが判明した予選結果となった。

チーム監督の志村は、
「みんな早くなったね。今シーズンは戦えるね」と3人のドライバーの走りに感想をもらした。5年目のシーズンといっても、一番レース数の多い堀ですらスーパー耐久17戦目、まだ数えられるほどのレース数なのだ。

レース当日―決勝

序盤で緊急ピットイン

快晴の決勝。ドライバー順はスタートが佐藤、2 ndが岡本、最後は堀となった。ここのところスタートドライバーを任されることが多い佐藤は、ソツなくスタートをきめ、予選ポジションをキープ、総合5番手の位置を守る。

佐藤はペースの上がらないクラス上位の#25ポルシェを抜こうとするが、コーナーで追いついて、直線で離されるの繰り返し。頭を抑えられため自身のペースも上がらない。その間隙をつかれ、後続のST-2クラスのマシン2台に前に入られてしまった。スティント中盤まで、その4台が2~3秒差にひしめく大混戦となった。

レースは4時間の長丁場、ラップタイムから換算すると周回数は120周後半。順調なら一人42~43周のスティントとなる。ところが、それにはるか及ばない28周目に緊急事態を告げる無線がドライバーの佐藤から入ってきた。水温異常を示すウォーニングランプが点灯したらしい。

緊急ピットイン。ピットの中にマシンが頭から滑り込んでくる。ということは手当ての必要なメカトラブル発生だ。水温は120℃、オーバーヒート。即座にマシンがリフトされ、ボンネットが開く。ここからはメカニックの出番だ。

オーバーヒートは冷却水のエアかみ(空気が入ること)のようだ。水をいったん抜いて入れ替える。ドライバーは岡本にチェンジ。マシンをピットレーンに戻し給油を行う。そして発進。

マシンを降りた佐藤にオーバーヒートの様子を聞くと、
「なんの前兆もなくいきなり警告ランプが付いたので、急いで戻った」とのこと。
自身のレースについては、
「前を走る#25ポルシェのペースが上がらないレース序盤、抜くチャンスでいかなきゃね。悔しい思いのまま走っていた」と反省しきり。
抜きたいという気持ちと、レース序盤でリスクは冒せないという気持ちとのせめぎ合い。経験値を上げるまでは、必要な悔しさというしかないだろう。

チーム一丸となった決勝レース

コースに出た岡本は、各部のチェックをしながら慎重な走りで周回を重ねる。エアかみの原因がハッキリとしたわけではないからだ。いつまたオーバーヒートになるかわからない。







マシンの調子を確認した岡本は徐々にペースを上げ、53周目には1分49秒台を出し、その後も50秒台ペースで走る。ラップにバラつきもなくマシンは無事のようだ。

その頃、他チームでもトラブルを抱え始めた。ST-1クラスのトップを走っていた#3のZ33(フェアレディZ)が、59周目にピットに入ったまま出てこない。あっという間に周回差が詰まる。

クラス2位まであと1周と迫ったFaust.RT岡本。その58周目、スタートから2時間経過したレース半ばで再びトラブルに見舞われた。水温は問題なかったがコンピューターのエラーによるノッキングが出たのだ。一昨年の富士の決勝中にポルシェで起きたものと同じ現象だ。ピットに戻りコンピューターをリセットしたが、原因不明の為この処置でトラブルが解消できる確証はない。冷却水を入れ替え、タイヤ交換と給油を行い、ここでドライバーも岡本から堀に交代する。

ピットは岡本に再度コースインを指示したが岡本自身の判断で堀にドライバーをチェンジ。岡本がそのまま乗ってマシンが壊れてしまえば、最終ドライバーの堀が決勝を走れなくなってしまうという考えがあってのことだ。アマチュアチームならではのドライバー同士の配慮である。

アタックを終えた岡本は、
「この状況下でドライバーに求められているのはマシンの状態を確認しながら乗ること、そして無理はしないこと。やるべきことはやったけど、無線が接触不良で、会話できないのがきつかった」。ピットからの無線が届かず、岡本→ピットへの一方的送信だったのだ。

度重なるトラブルで28位と順位を大きく落としたため、総合成績での表彰台は圏外。このレースの焦点は完走とクラス内での順位争いとなった。前を行く#3フェアレディZとは約1分差。逆転は十分に可能だ。荒れ始めた路面の中、堀はベスト49秒台、レースラップを50秒~51秒台でプッシュする。

ところが走りだしてすぐ、71周目でブレーキトラブルによるピットイン。フロントのブレーキパッド交換だ。メカニックは素早い交換でマシンをコースに戻す。

すると83周目には、2回目のオーバーヒート。その間隔が短くなっていることから、冷却系に深刻なトラブルを抱えているのは明らか。といっても早急にできることは冷却水の交換だけ。対処して再びコースへ送り出す。

「完走か?否か?」最後の30分

残り30分を切ったところで#9 Faust RTに対し、「黄線区間追い越し違反」のペナルティが課せられた。コースサイドに停車中の車両があり、その黄旗区間での違反。今シーズンから改訂された規定で、ルール適用が厳しくなったのだ。スピード上位のチームが、たて続けにペナルティを受けた。

終了16分前、あと数周でゴールという96周目。3度目のオーバーヒートでピットイン。場内放送では「#9から白煙」。完走危うしか!? とピット内が騒然とする。

スーパー耐久では、いかなる車両もチェッカーを受けなければ完走扱いにならない。しかも各クラス先頭車両の周回数の70%以上であることが必要条件。クラストップのゴール時点での周回数を計算すると、Faust RTは基準70%はクリア、後は再スタートしてチェッカーを受けるだけだ。

今やれることは冷却水を交換することだけ。そしてコースに飛び出す堀。ゴールまで繋ぐだけの抑えた走りで数周をこなすが、最後の周回となった101周目だけはフルアタックを敢行、1分49秒台に入れてチェッカーフラッグ、フィニッシュラインを切った。

ゆっくりと1周した後、マシンをコース上に置いた堀がピットに戻ってくる。メカニックとハイタッチ、そして握手。もちろん佐藤、岡本も。泣き出す女子にはハグで応え、カメラを抱えたゲストには記念撮影。歓喜の輪のセンターは最終ランナーの特権だが、最高の瞬間はチーム全員が共有できる。

4時間のタフな戦いが終わり、クラス3位で立つ表彰台も格別だ。昨年末、もてぎオーバル優勝の表彰台では、岡本が欠けていた上、堀は走っていなかった。今回は3人揃って走り、そして表彰台に上ることができた。高く掲げるトロフィーも誇らしげだ。

From Faust A.G. Channel on [YouTube]

ST-1クラス9号車のBMW Z4、ファウストRTの走りに注目!
★【YouTube:FaustA.G.チャンネル】でもご覧いただけます(スマートフォンの方 はこちらがオススメ)

表彰式が終わり堀は、
「シゲちゃん(佐藤)が入ってきた段階であかんなって思ったけど、よく辛抱してみんなで繋いだ。完走できて、ポイントも取れてよかった」と、素直な気持ちを話した。オーバーヒート=終わりでしょ…が一般的であって、そこからの信じられないがんばりに驚き、自らもその流れに乗ったのだ。

5年間ずっとレースを見てきた監督の志村はレース後、
「公開テスト、フリー走行、予選とトラブルなし。それでも決勝で問題が起きるのがレース。今回は決勝前に1レース分は走ったから、マシンへの負担があったんだろう。人間は我慢しても機械は我慢しないから。苦しいレースだったけど、メカニックはよく対応したし、ドライバーもがんばった。みんなあきらめなかったからハッピーになれた。次は決勝でいいレースをしよう!」と締めくくった。

出走42台中、完走はわずか27台。Faust RTはトラブルを抱えながらなんとか完走を果たした。ハードワークから得た経験が、もてぎロードコースで弾けるのか? 次戦が待ち遠しい。

Data

スーパー耐久2012シーズン開幕戦
Fuji Speedway
2012.03.25/Course Length:4,563Km
Weather:Sunny/Course:Dry
Faust Racing BMW Z4M COUPE
Driver堀 主知ロバート/佐藤 茂/岡本 武之
4h01’43.894 101LAP
ST-1クラス3位

スーパー耐久シリーズ公式サイト
http://supertaikyu.com/

Line up

Road of APJC

ゴルフコンペ 年間シリーズ戦のレポート

画像
画像

clear

Road to IRONMAN

アイアンマン ワールドチャンピオンシップへの道

画像
画像

clear

Road to Le Mans

ル・マンへの道

画像
画像

clear

Road to No Side 〜六甲ラグビーフットボールクラブの挑戦〜

画像

clear

Road to Pearl Open

パールオープンへの道

画像
画像

clear

Road to Recovery

復興への道

画像
画像

clear

Road to Smile

社会貢献の道

画像
画像

clear

Road to Space 〜民間宇宙旅行への道〜

画像
画像

clear

Road to WAC

ワールド エアロバティック チャンピオンシップスへの道

画像
画像

clear

Road to WSOP

ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー、その頂点への道

画像

clear

What's new