新旧問わず、いくつものクルマを触り、興じ、乗り継いできたファウストの面々。彼らのクルマに対するこだわりや追求は、その好奇心とともに尽きない。歴史や背景、デザインから技術まで、あますことなく細部まで追い求めていく。そんなファウストたちが、アウディの協力のもと、体験試乗レポートをリレー形式で紡いでいく新コンテンツ。クルマ誌ではなかなか書けない、私的で、それでいて的確な指摘をファウスト会員ならではの視点で連載していく。今回は、RS6を 1週間ごとに順繰りでファウストが乗り、その体験、体感を語ってもらった。第1回の試乗者は、堀 主知ロバート氏。
堀 主知ロバート氏の場合
Faust(以下F):速い、信じられないくらい速かったで すね。スピードがストレスなく伸びていく。しかも、頑張って伸びていくのではなく、リニアにウゥ~ンと回って、重くならずにスーッと。だから驚きました。 まだまだ余裕があったから、300km/hぐらいは軽く出るんじゃないですか。しかも安定感抜群。ハンパなクルマじゃないですね。
M:今まで乗っていたクルマと比べた印象はいかがですか?
F:フェラーリのモデナや、550マラネロ・バルケッタは、 馬力ではRS6に劣るけど、車重が軽いから確かに速い。でもRS6はそのどちらよりも速い。異次元の速さ。直線加速だけだったらFaust.RTで走らせ ているS耐のポルシェより速いと思いますね。アクセル踏み込んでからの中間加速がメチャメチャいい。高速道路で煽ってくるようなコワもてのクルマは、追い かけてこれない。アクセル踏み込んで、1、2、3でバックミラーに豆粒ほどになっちゃう。下からのトルクが凄いから一瞬で置き去りにできるんですよ。
M:これまで RS6のようなクルマとの出会いはなかったんでしょうか?
F:正直、GTカーと呼ばれる長距離を高速で移動するクルマにはあまり興味がありませんでした。
M:今持っているクルマは?
F:ハマーのH2とポルシェのスピードスターです。ハマーは ウェイクボードやサーフボード、ゴルフバッグを積みっぱなしにしてある遊び用のクルマで、スピードスターは、屋根なしスポーツカーが大好きという、長年の 趣味の延長上にあるクルマ。若い頃、TVRのタスカンに乗っていたんですが、高速道路を120km/hで走っていると臨死体験ができるようなクルマで、 RS6は極端な話、その対極にあるクルマ。僕の中では、今までそういうクルマを所有する機会がなかったんです。
RS6ならサーキットでも早く走れる
M:サーキットを走ってみた印象はどうでしたか?
F:車重があるから苦手なステージかなと思ってたんですが、 抜群にコントロールしやすい。コーナーで前に荷重をかけてギューッとフロントを入れていくと、お尻が振り出す。アクセルを抜くとオーバーステアアンダーに なるし、踏むとアンダーステアがでるオーバー、そういうスベりのスライド量のコントロールがしやすい。四駆だから基本的にグリップしようしようとするんで すが、それでも振り回せる。「あっ、このクルマ、コントロール性がいいんだ」って感じましたね。
M:今回もてぎを貸し切りで7時間も走りました。他のクルマと比べて?
F:もてぎの南コースや、練習用に設営した特別コースなどで いろいろなクルマに乗りました。例えば、アウディのR8はレーシングカーに近いので、それなりの腕があればサーキットをキビキビと楽に扱えると思います。 たぶん一般的な腕のドライバーか、多少上手いという人であれば、RS6の方が速く走れると思います。例えばコーナーでスベり出しても、突然くるっとターン なんてことにはならない安全性がある。レベルの高い運転ができる。ボクはカートレース出身だから、グリップ走行でないとタイムロスするっていう感覚がある んですが、RS6だと、「四輪って、こんなスベらせてもいいんだ」って感じかな。それでもタイムは落ちない。ホンダS2000も運転したんですが、同じぐ らい…といったら語弊があるかもしれないけど、遜色がないくらいRS6はコントロールしやすかった。
M:スタビリティ・コントロールはどうでしょう?
F:スベらない、ほんとにスベらない。だからサーキットでは スベらすためOFFで走るんですが、エンジンをかけて走り出した時は、リセットされてONになってしまいます。それを忘れてそのまま走ってしまうから、 コーナーで攻めた時に、スタビリティ・コントロールが効いて、トットットッとなる。おっと~、忘れてた(笑)… 逆に言うと、スタビリティ・コントロール が効いていれば、一般道で振り回そうと思って意図的にスライドさせようと思ってもスライドしない。
乗らないと良さがわからないハイレベルなGTカー
M:一般道、街乗りでの扱いは?
F:楽(ラク)ですね。3段階あるダンパーの減衰力調整を 「コンフォート」にすれば、快適そのもの。サーキット走行でもダイナミックモードで十分でしたね。そういえば、妻のクルマがアウディのA6オールロードク ワトロの右ハンドルなので、試乗したRS6は左ハンドル。コンソールのスイッチ類が逆になっているんですね。ナビの目的地入力とかで、とまどったくらいか なぁ。アウディらしいユーザーへの気遣いなんだろうけど、もし家に右ハンドルと左ハンドルがあったら混乱しますね。
M:(笑いながら無視しつつ)。ところで、国産高級車やBMW、メルセデスと比べてテイストの違いは?
F:これは乗らなきゃわからないことですが、ぜんぜん違うク ルマですね。まず、すべてのアウディに言えることですが、どれも「機械として正しい」という感覚。足回りひとつみても、ダンパーのスイッチを切り替えたら 特徴がすぐ出るし、スロットルのレスポンスやブレーキのタッチもリニアでダイレクト。安定感ある走りは四駆の恩恵もあるだろうし、その重量的なハンデはア ルミを使うことで相殺してある。レースで培った技術的要素をたくさん盛り込むことで、超ハイレベルなGTカーに仕上げてあるのがRS6ですね。目指してい るところが違うんでしょう、きっと。そう感じました。だから、広告宣伝も難しいんじゃないかな。乗らないと良さがわからないから。よくある目隠しテスト で、あらゆる高級車を揃えて走らせて見ると面白いんじゃないかな。ベントレーのコンチネンタルなども含めてね。ぜったいみんなRS6選ぶと思いますよ。
M:ひょっとしてお買い上げですか?
F:今は余裕のあるお金は全部レースにつぎ込んでいるところなんで…。そういう状況じゃなかったら、絶対買ってます。そういえば、以前アウディのS8に試 乗した時にも、欲しくてグラッときたけど、RS6に乗ってしまうと、もうRS6以外は見えない。そのぐらいよかった。今回の試乗中、4人乗車、ゴルフバッ グを4個積んで、常磐道を走ったんですが、短時間でストレスを感じないままゴルフ場に着くことができました。高速道路でGTとしての使い方をした時には最 強でしょうね。
M:そういえばS耐のポルシェ、テスト中、燃えちゃいましたね。
F:それ、言わないで…(笑)
M:RS6の購入が一段と遠のきましたね(笑)…S耐シリーズでの活躍を期待しています。

Audi RS 6 Avant :
型式 ABA- 4FBUHS、全長4,930 mm×全幅1,890mm×全高1,475mm、総排気量4,991cc、V型10気筒DOHCツインターボエンジン、最高出力[ネット]426kW(580ps)/6,250-6,700rpm、最大トルク[ネット]650Nm(66.3kgm)/1,500-6,250rpm、フルタイム4WD、電子制御6速ATトランスミッション(ディプトロニック)




